ナノインデンテーションシステム

ナノインデンテーション用圧子

Brukerではお客様の様々なアプリケーションに対応するためにさまざまな形状・サイズの圧子をご提供しております。このページはアプリケーションに最適なプローブを選択するための参考資料です。

ピラミッド型圧子

バーコビッチ圧子

バーコビッチ圧子はナノインデンテーションで標準的に用いられる圧子です。3面ピラミッド型の構造をしており、圧子の内角は142.35°、中心線と面のなす角度は65.35°、圧子のアスペクト比は18です。バーコビッチ圧子はマイクロスケールの試験でよく用いられているビッカース圧子と深さに対する接触投影面積の比率が同じであるため、ナノインデンテーションでは幅広く用いられています。先端曲率半径が小さく塑性変形を生じさせ易いため、硬さの評価にも向いています。また、極端に柔らかい材料でない限り、in-situ SPM イメージング機能で形状像などを取得できます。

バーコビッチ圧子の一般的なアプリケーション

ハイエンドモデル PI 88 SEM PicoIndenter
  • バルク材・薄膜などナノインデンテーション全般(極端に柔らかいポリマーなどを除く)
  • In-situ SPMイメージング

キューブコーナー圧子

キューブコーナー圧子は3面ピラミッド型の構造をしており、圧子の内角は90°、中心線と面のなす角度は68°です。キューブコーナー圧子が他の圧子よりも優れている点の1つは鋭さです。これにより、塑性変形を作製しながら小さなインデントを実行でき、小さなサンプル・微小領域の硬さを測定できます。また、粗いサンプルのin-situ SPMイメージングもバーコビッチ圧子より得意とします。

キューブコーナー圧子の一般的なアプリケーション

  • コンポジット材料などの極微小部位の測定
  • サンプルの破壊を伴う試験(破壊靭性評価など)
  • 破壊を生じさせることを意図したスクラッチ試験
  • 摩耗試験
  • 高解像度のIn-situ SPMイメージング

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ビッカーズ圧子

ビッカース圧子は4面ピラミッド型の構造をしており、バーコビッチ圧子と深さに対する接触投影面積の比率が同じになります。圧子を作製するために4つの平面を作るようにダイヤモンドにカットすると、それらは点ではなく直線で交差するため、先端曲率半径がバーコビッチ圧子よりもはるかに大きくなります。そのため、低荷重での微小部に対する試験が制限されるため、ナノスケールの機械的特性には不向きです。ビッカース圧子を用いる主な目的は高荷重でマイクロスケールの試験を行い、ナノインデンテーションの領域とのシームレスな評価を実施することです。

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球形(円錐)型圧子

球状の端部を持つ円錐型もしくは球そのもののナノインデンテーション圧子です。円錐型の場合、その円錐角は60°・90°・120°です。深く押し込む場合を除き、圧子の先端のみがサンプルと接触するため、一般的に円錐角はそれほど重要ではありません。

先端曲率半径が大きい圧子であるほど、柔らかい試料(ゴム状ポリマーや柔らかい生体材料など)に適します。これは圧子の接触面積が大きくなり、小さな押し込み深さでも荷重などの情報を検出し易くなるためです。
また、スクラッチ試験において、スクラッチする向きの影響を受けにくいため、頻繁に用いられます。さらに、塑性変形を起こさない領域での評価(応力ひずみ曲線を用いた降伏応力の評価など)にも採用されます。

球形(円錐)型圧子の一般的なアプリケーション

  • 塑性変形を起こさない領域での評価
  • ナノスクラッチ試験による耐スクラッチ性・摩擦係数・接着特性評価
  • 柔らかい生体材料・ポリマーの試験(曲率先端半径の大きい圧子)

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特殊圧子

上記の2つのカテゴリに含まれない圧子を示します。これらの圧子は通常、特殊なアプリケーション用に使用されています。

フラットエンド圧子

フラットエンド圧子は2種類あり、フラットパンチ(先端が平らな円筒形)圧子と60°の円錐で先端が平らな圧子です。圧子の先端とサンプルと完全に平行にするが非常に難しいため、フラットエンド圧子は通常、非常に柔らかいサンプルの試験かファイバーのプッシュアウト試験などの限られたアプリケーションでのみ使用されます。

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液中圧子

液中測定仕様とするために、長さが約4 mmの延長シャフトを取り付けた圧子です。上記のほとんどの種類の圧子を液中仕様にすることができます。圧子が液体を貫通する箇所に存在するメニスカス力を最小限に抑えるために、延長シャフトの直径は約できる限り小さくしています。液中圧子は、サンプルを液体に浸す必要があるすべてのアプリケーションに使用されます。

温度制御ステージ用圧子

上記のほとんどの種類の圧子を温湿度制御ステージで使用できるようにしたものです。で利用できます。 温湿度制御ステージに搭載したサンプルにアクセスできるようにシャフトを長くしています。このシャフトはトランスデューサーへの熱伝達量を抑えることのできる材質を用いており、ドリフトを生じさせずに温湿度制御下の試験を実施できます。

nanoECR圧子

nanoECR圧子は、nanoECR(電気接触抵抗)オプションで使用できるように作製されています。ホウ素をドープしたダイヤモンドと圧子ホルダーからトランスデューサーへの低抵抗の導電パスで構成されているため、サンプルステージからの電気信号を取得することができます。

ヌープ圧子

ヌープ圧子は4面ピラミッド型プローブで、プローブの断面は1つの軸が他の軸よりもはるかに長い菱形です。この圧子は異方性のあるサンプルに対し、異方性が機械的特性に与える影響を調べるために用いられます。

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ウェッジ圧子

ウェッジ圧子のいくつかの異なる形状が利用可能で、サンプルに方向依存がある場合や特定の形状のサンプルを試験する場合に使用されます。他に基板と薄膜の間の界面に直接インデンテーション試験を実施し、層間剥離を引き起こすために使用されることがあります。

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ブルカージャパン(株) ナノ表面計測事業部は、ナノプローブテクノロジー第167委員会の企業会員です。 ナノプローブテクノロジー第167委員会とは日本学術振興会の設置する61の産学協力研究委員会の1つであり、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の基礎・応用技術の組織的発展を目標に活動しています。