AFM/SPM用語集

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わ行  

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あ行

  • アイヴイカーブ (I/V curve)

I/Vカーブ(特性)。TUNAやC-AFM(コンダクティブAFM)モードでは、プローブからバイアス(V)を印加して、同時に流れる電流(I)を測定できる。
AFMである以上一般的に、一定バイアス時に流れる電流のマッピングをAFM像と同じエリアで計測するが、プローブのスキャンを止めて、バイアス可変時の電流カーブを計測してより詳細な導電性の測定ができる。


  • 圧電素子 (Piezo)

SPMのスキャナは、Z軸、Y軸、X軸の3軸に駆動するためのピエゾ(圧電素子)を内蔵している。圧電素子は、ヒステリシスやクリープと言った扱いにくい面もあるが電圧を印加して微細に駆動制御でき、また一般駆動回路よりノイズが少ないというSPMで不可欠とする重要な仕様を持っている。


  • アールテスプ (RTESP)

ローテイドTESP(Tapping Edged Silicon Probe)である。通常のTESPタイプのプローブは、非対称なピラミッド型の形状したチップである。片方向には、より鋭角した角度で測定されるが、反対方向は鈍った傾斜のデータになる。
凹凸の大きい試料表面を測定するとこの非対称性がデータに反映されて問題になることがある。RTESPは先端のピラミッド型チップを前後の180°回転しているために、測定時のチップの側壁が対象になるようにインゲージしてくれる。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • 位相イメージング (Phase Imaging)

位相イメージングはSPM機能のなかで非常によく使用されているモードである。原子間顕微鏡の凹凸イメージを同時に検出し、サンプルの物性等の違いの分布を計測できるSPM機能である。
物性の違いによるコントラストはあくまで定性的なもので、定量的な情報を得るには、最新のPeakForce QNMの機能が有効的である。

関連製品:原子間力顕微鏡システム


  • インゲージ (Engage)

インゲージと呼ぶ。測定を開始する時にプローブが試料表面にアプローチしてフィードバックonになった時点でスキャンを開始する。この動作を言う。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • インターリーブ (Interleave)

SPMには、形状観察のAFMモード以外に多くの異なる測定モードが存在する。しかしながら、表の凹凸により他の力勾配の変移が正しく測定されないという問題を抱える。
そのために、AFMで凹凸を測定してその補正をした状態で他の測定を実施することが望ましい。このインターリーブは、同時に2種類の測定モードを実行させることができるので、AFMのイメージを測定して、その凹凸情報を補正しながら他の測定モード(MFM,EFM,又はSPoM)の測定を可能にする。

関連製品:MMAFM-8 , Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • ウィズドロー (Withdraw)

スキャンしている際には、プローブはフィードバックonの状態で設定された条件で試料表面をスキャンしている。このプローブを試料表面から引き上げてスキャンを終了させる動作をウィズドローという。


  • エイシーモード (AC mode)

カンチレバーを振動させて、その変移や力勾配の変化を利用して測定するモードを示す。ノンコンタクトモードやタッピングAFMモード等が含まれる。
これに反してカンチレバーを振動せずに測定するモードをDC modeと呼んでいる。


  • エイディーシー(ADC)

ADコンバータである。計測される生データはアナログである為に、PC制御するためのデジタルデータに変換する必要があり、SPMの制御系にはたくさんのADコンバータが内蔵されている。このスピードが測定スピードにも関係している。


  • 液中測定

溶液中で測定すること。液中測定には3つのケースがある。一つ目として、生体試料のように試料そのものが液環境でないと形状が変化したり、細胞が死んだりしてしまうために液中での測定が必要である。
二つ目には、試料表面に薄いフルイドレイヤーが存在して、カンチレバーを強く引っ張る力(メニスカスフォース)が働くが、液中ではそのレイヤーが消滅するのでこの力が及ばなくなるためである。
最後には、測定環境をきれいな状態で長時間保ちたい場合である。大気中の場合は空気中を浮遊しているパーティクルが試料表面に降りおちて、何度かスキャンをしているとパーティクルが、どんどん数を増していくのが観察される。純度の高い水にいれた場合、大気中のごみが水面から測定場所まで到着するまでに数時間かかるので、その間はクリーンな環境で測定が可能になる。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • エックスオフセット (X offset)

見かけ上のスキャンの0Vの位置を変えることで、測定位置の中心の場所を移動することができる。大きなエリアを観察中に測定値の場所を移動する際に、このオフセットを利用する。


  • エックススキャン (X-scan)

ファーストスキャン側とも言う。X軸方向にスキャンするSPMではもっとも基本のスキャンである。1秒間に1往復するスピードを1Hzと呼ぶ。SPMのスピードは様々な意味で重要な情報になる。
その際に、1Hz, 2Hz・・・・10Hz等とこのXスキャンの回数で測定スピードを表現するのが一般的である。


  • オープンループスキャナ (Open Loop Scanner)

SPMのスキャナにはオープンループスキャナとクローズドループスキャナの2種類が存在する。オープンループスキャナは、最も基本的なスキャナで、キャリブレーションされたピエゾ感度の値に基づいて電圧を印加して直接スキャンさせる手法である。構造が簡単なので、スキャナの持つノイズが最も小さく抑えられるので、高分解能測定に適している。しかしながら、高速或いは急峻に大きく変化する試料表面における測定では、正確に追従できない場合が発生するという弱点もある。それを補ったのがクローズドループスキャナである。


か行

  • 環境チャンバー

装置によっては、温度制御、湿度制御或いはガス置換を行う目的で、試料廻りか、マイクロスコープを外部大気から分離できるチャンバーをもつものがある。環境を変えて試料が変化をおこす状態をin-situ測定を行う場合に有効である。標準の環境チャンバーが無い場合、或いは試料準備の関係で標準のものが使用できない場合は、市販のグローブボックスが利用できる。(詳細は、グローブボックスの項を参照のこと。)

関連製品:MMAFM-8 , Innova , Dimension Edge , Dimension Icon


  • カンチレバー (Cantilever)

AFM測定用Si製プローブのことを意味する。形状が片持ち針になっているので、プローブと同義語としてカンチレバーと呼ばれている。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • 機械特性の計測

硬さ(弾性)、吸着力等をナノスケールで計測すること。試料の物性的な情報をAFMの形状と同時に計測することは非常に有効な分析手法になる。機械特性を計測する手法としてPeakForce QNMが開発された。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • キャリブレーションスタンダード (Calibration standard)

一般のオープンループスキャナにおいては、スキャナが正確な精度でスキャンできるようにキャリブレーションが必要になる。 そのために、予め公の測定機関が実測して正確な寸法が分かっている格子状のサンプルが市販されている。これを、キャリブレーションスタンダード(或いは、スタンダードサンプル)と呼ぶ。 AFMで一般的に使用されているものは、USのNIST トレーサブルのスタンダードである。


  • Qコントロール (Q Control)

Q値を電気的に制御し、固有のQ値より高めたり低めたりすること。
測定条件・環境においてプローブのQ値を可変させて都合のよい測定行うことが可能になる。一般的には、プローブの持つ固有のQ値に対して、0.1倍から10倍の、二桁の範囲で制御が電気回路上で可能である。

関連製品:Dimension Icon , MultiMode8


  • Q値 (Q Factor)

ACモードで測定する場合、プローブのもつ共振周波数付近で振動させる。その時得られる共振曲線で、半値幅(FWHM)Δfと共振周波数f0から計算され、Q=f0/Δfで算出される。
F0が高いほど、Δfが小さいほど、Q値は大きくなる。同一の環境中では固有のプローブに対するQ値は一つに定まるが、周囲の環境が変化すると共振曲線も変化するため、大気中、液中、真空中などでQ値は大きく異なる。


  • 吸着力 (Adhesion)

サンプルの機械特性によって、カンチレバーが試料に引っ張られる、この力をAdhesion(吸着力)と呼ぶ。この力はコンタクトモードでは摩擦力を大きくし、タッピングAFMモードのようなACモードでは、振動の位相を遅らす力勾配として働く。
これらを検出することで、試料表面の特性を知ることができる。


  • 共振周波数 (Resonant Frequency)

プローブ(カンチレバー)が持つ固有の共振周波数である。物質にはある特有の周波数において同期して振動する共振周波数が必ず存在する。
SPMのACモードに限定して言うと、測定原理において必ずプローブの共振周波数を利用して加振するので、この共振周波数を必ず確認してパラメートを設定するプロセスがある。


  • 近接場 (Near field)

光の波長より小さい物体の直径程度のごく近くにある電磁界のこと。
AFMは試料の表面近傍を一定の距離を保ってスキャンするので、ラマン光(近接場光)をAFMプローブにより増強させることができる。これをTERS(Tip Enhanced Raman Spectroscopy)とよんでいる。


  • クリープ (Creep)

一般に使用されているオープンループスキャナは、予めキャリブレーションされており、その校正値をピエゾ感度として記憶されている。
その印加された電圧によりそのピエゾ感度で決められた距離を駆動するしくみである。しかしながら、Zピエゾのように高速で動作する必要があるピエゾが、ステップハイト形状の試料のように瞬間的に伸び縮みをする場合は、瞬間的にピエゾが期待された位置まで動作できない。
フィードバック回路は、自動的にその不足する分を含めて瞬時に移動させることができる電圧を印加してしまうために、真値より大きな値として検出している。このような現象をクリープ現象と呼ぶ。ハイアスペクトサンプルのエッジ部分にその現象が起こる。


  • クローズドループスキャナ (Closed Loop-Scanner)

スキャナには、オープンループタイプとクローズドループタイプがある。
スキャナの駆動部に圧電素子(ピエゾ)が使用されているが、そのヒステリシスの影響を排除する方法として、内部に別のセンサーを内蔵させてその信号をダイレクトに読みながら、指定した値まで正確に動くようにクローズの系で制御するスキャナをクローズドループスキャナと呼ぶ。


  • クローズドループフィードバック (Closed Loop Feedback)

SPMの基本動作原理は、プローブ先端と試料表面間で働く力勾配を設定された一定の値に戻るようにフィードバックをかけて、そのフィードバックに使用された制御信号値(例えば、電圧V)を測定値するものである。
そのために、共通仕様としてこのクローズドループフィードバックがいる。略して、フィードバックとも言う。

関連製品:MMAFM-8 , Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • クローズドループヘッド (Closed Loop Head)

基本的にCL-Scannerと同じ場所を呼ぶ。詳細の違いは、スキャナは駆動するピエゾ部分のみの構造を示し、一方CL-Headはそのスキャナに光てこのレーザーや件検出器を含めた全体の部分を意味する。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • グローブボックス (Glove Box)

測定する試料の雰囲気の制御のために、マイクロスコープ部をグローブボックスにいれて測定することがある。大気中の酸素による酸化を防いだり、湿度の調整をしたりするのが目的で、不活性ガス(窒素、アルゴン)等で置換する。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • ケルビンフォース顕微鏡 (Kelvin Force Microscope)

ケルビンフォース顕微鏡は、試料表面の電位測定ができる。
別名SPoM(Surface Potential Microscope)と呼ぶ。カンチレバーにAC、およびDCバイアスを印加して、プローブと試料間で働く力=0の位置を検出するフィードバックを行う。
ただし、実際の動作として、表面形状と表面電位を同時測定する方法と、表面形状測定をメインスキャンとして、インターリーブ機能を利用して凹凸の影響を取り除いたインターリーブスキャンができるものがある。


  • 顕微鏡と粗さ計

顕微鏡は微小な物体を視覚的にX-Y方向に拡大する機能を有する。粗さ計は、表面の凹凸具合を粗さの数値にして評価する装置である。
SPMはその両方の機能を備えている。生体試料や分子を見るときは顕微鏡として使用されるが、半導体・ガラス基板等の企業における品質管理では粗さ計として使用される。


  • 原子間力顕微鏡(AFM)

AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)とは、小さなシリコン製プローブを使って試料表面の形状や粗さを3次元で計測できる顕微鏡のことである。
プローブと試料表面の原子間に働く力を一定に保つようにフィードバックをかけながら試料表面をスキャンすることで、試料の粗さや凹凸像の観察を行う。
試料の導電性に関係なく形状測定が可能で、真空環境でなくても原子像のような高分解能で計測できる特徴がある。測定が可能な環境が、大気中以外にも、液中、雰囲気中、真空中と大変幅広く、AFMとしての測定モードにも様々なものが存在する。

関連製品:原子間力顕微鏡システム , AFM/SPM用プローブ


  • 硬度測定

ダイヤモンドチップのプローブを使用して押し込み、その圧痕のサイズからその試料の硬さを計測すること。AFMはナノスケールで硬度測定ができるために、ナノインデンテーションと呼んでいる。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • コンタクトAFM (Contact AFM)

コンタクトAFMは、最も基本的なAFMモードである。プローブをサンプルに接触させた状態でスキャンをする。サンプルとAFMプローブ(カンチレバー)の先端のチップ間で摩擦力が発生するために、柔らかいサンプルを押しこんだり、傷をつけたりする可能性がある。原理的に分解能が高い利点があり、そのために原子像を測定する場合と摩擦を測定する場合に利用される。


  • コンダクティブAFM(C-AFM)

コンダクティブAFM顕微鏡は、バイアスを印加して試料内を流れる微小な電流を計測する。TUNA(トンネリングAFM顕微鏡)と比較して導電性の高い試料に対応するもの。導電性ポリマーの測定等、幅広い試料に対応する。


さ行

  • サンプルスキャン

サンプルサイズが小さい場合は、スキャナでサンプルをスキャンさせることができる。
このほうが、構造的にSPMが設計し易い。例えば、光てこ方式の検出構造を採用している場合、プローブの背面にはレーザーが照射されており、プローブの変移をレーザーの反射光でモニターしている。
もし、プローブ側をスキャンすると、プローブのスキャンによる位置の変動が試料の粗さ情報にアーティファクトとして乗ってしまうリスクがある。

関連製品:MMAFM-8 , Innova , BioScope Catalyst


  • Jスキャナ (J Scanner)

MMAFM(マルチモード)AFMは世界最多の使用実績を持つSPMである。
そのSPMで使用されているスキャナの中で125μmのスキャン範囲を持ちながら非常に高分解能が得られるオープンループスキャナが、J スキャナと呼ばれている。

関連製品:MMAFM-8


  • 磁気力顕微鏡 (MFM)

磁気力顕微鏡は、SPMモードの中でかなり早い段階でデータストレージ関係の企業で幅広く使用されてきたモードである。
試料表面に磁気で記憶された情報を高分解能でイメージングすることが可能。このSPMモードに使用されるプローブは、通常のプローブに磁化が可能な金属コートを施したものが使用されている。


  • 自己検知型プローブ

大部分のSPMは光てこ方式を採用している。その理由は、SPMの性能を十分に得るためには、ノイズ成分を最小限に抑えることが重要だからである。
自己検知型プローブのメリットは、光てこ用のレーザーを使用しないため、そのアライメントの作業が不要である点だ。


  • 自由振幅 (Free Amplitude)

ACモードにおいて、試料から十分離れたところで、プローブを共振周波数で振動させたときのプローブの振幅を言う。


  • シリコンナイトライドプローブ

コンタクトAFMは、摩擦力が発生してどうしても試料表面への触圧が大きくなってしまうために試料が破壊されてしまうので、プローブのバネ定数の小さい(つまり柔らかい)プローブを選択する。単結晶シリコンより、シリコンナイトライドプローブが十分に柔らかいためにこの材料を使用している。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • 振幅検出 (Amplitude detection)

振幅検出とは、カンチレバーの振幅を一定に保つようにフィードバックを掛ける方式。その他の方式として位相検出や周波数モジュレーション等もある。振幅検出によるフィードバックは試料の凹凸の形状によってはエアダンプの影響を受けて誤差を含んでしまう可能性もある。その場合は位相検出方式が望ましい。


  • 水平力顕微鏡(LFM)

Friction Force Microscopeと呼ばれる場合もある。コンタクトAFMモードでプローブが試料表面を90度方向にスキャンした場合、それぞれの摩擦力の違いによってカンチレバーのねじれが異なってくる(摩擦が大きくなるとねじれも大きくなる)。その情報をマッピングすることで、摩擦力の違いのマッピング像が得られる。かなり力が大きく、摩擦により試料表面が破壊されるので、現在では位相検出モード(位相イメージング)がより多く用いられている。


  • スキャンアシスト (ScanAsyst)

2009年に開発されたPeakForce Tapping機能を応用した画期的な新自動測定モードである。
自動最適化によりセットポイント、及びゲインの調整の必要が無いため、ユーザー技能に関係なく、大気中、液中問わずより速く安定したイメージングをすることが出来る。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • スコープモード

イメージングのパラメータの調整の際にYスキャンを止めて、同じ箇所でX方向のスキャンを繰り返し、その再現性やプローブの追従性を確認調整する。そのモードをスコープモードと呼んでいる。


  • ゼットピエゾ (Z piezo)

ZピエゾはSPMのスキャナの中でも非常に重要な部分である。X軸、Y軸に比べて非常に動作が速いので、このZ軸の動作スピードが装置全体のスピードを決める。
また、AFMの形状測定のデータはすべてZ軸のデータをX-Y方向に並べたものなので、Z方向の値がすべてを決めると考えてもよい。その意味で、ノイズフロア、リニアリティ、駆動スピード(共振周波数)、駆動距離すべてが重要である。


  • セットポイント

SPMの測定では、プローブが一定の触圧で接触するように設定して常にその状態になるようにスキャン中にフィードバックを掛ける必要がある。その最初に設定される基準触圧を決める(プローブの押し込み量を決める)電圧値をセットポイントと言う。


  • ゼットモジュレーション (Z modulation)

ZピエゾにACバイアスを印加してAC振動させる場合をZモジュレーションと呼ぶ。


  • ゼットリミット (Z limit)

入力信号のフルスケールをADコンバータでデジタル化して取り込む。
仮に小さい信号に対して大きなレンジをフルスケールで取り込むと、無駄な部分が発生して、同時に本当のデータを分割するADコンバータのビット数が少なくなってしまう。
そのために分解能が下がってしまうリスクがある。最高の分解能が得られるように、Z limit機能を利用して測定する信号のフルスケールを最適値に抑えることが可能である。


  • センサーノイズ

クローズドループには、ヒステリシスの影響受けないリニアな位置センサーがX,Y,及びZにそれぞれ独立して内蔵されている。
直線性が高くハイアスペクトの試料測定やマニピュレーション等が正確に可能になりセンサーは非常に有用なもの。しかし、センサーが若干のノイズを持っているため、この低ノイズのセンサーを開発できるかが、SPM製造上の重要な課題になる。


  • 走査型キャパシタンス顕微鏡 (SCM)

走査型キャパシタンス顕微鏡は、半導体のP/Nジャンクションを観察する目的に使用される。金属コートのプローブ、誘電膜(或いは絶縁膜)および半導体試料面からMOS構造を利用した測定技術である。形状からでは判別できないものが観察でき、主に半導体の不良解析に用いられるSPMモードである。接触式である為に、類似した非接触方式のものより高い分解能が得られる。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • 走査型電気化学電位顕微鏡 (SECPM)

走査型電気化学電位顕微鏡と呼ぶ。電気化学STMをベースとし、溶液中の電位分布(電気二重層)を計測することができる。等電位面のマッピングや、一定高さモードで、電位分布の測定ができる。さらにチップ-サンプル距離の変化に対する電位の変化を計測することも可能。

関連製品:MMAFM-8


  • 走査型トンネル顕微鏡 (STM)

SPMの中で最初に開発された測定モードである。スキャニングトネリングマイクロスコープと呼ぶ。チップとサンプル間に印加された電圧で、チップが試料表面にナノレベルまで近づくとトンネル電流(接触していないのに、トンネル現象で電流が流れてしまう)が流れる。更に近づけていくと試料-チップ間の距離に対して指数関数的にトンネル電流が増加する。このカーブを利用して、一定の電流が流れるように位置をキープしてスキャンすると、チップは試料表面に並行で移動するので、チップの位置のマッピングデータから、凹凸情報や原子像の観察が可能になる。しかしながら、導電性が無い試料はトンネル電流が流れないために、測定することができないという弱点がある。


  • 走査型拡がり抵抗顕微鏡 (SSRM)

走査型拡がり抵抗顕微鏡は、試料にバイアス電圧を印加し、導電性探針を通して流れる電流をアンプによって計測し拡がり抵抗をマッピングし、半導体のドーパント濃度を測定する目的で使用される。
半導体では不純物濃度を大変幅広く振ってデバイスを作るために、このSPMで測定する抵抗値も大変幅広く対応する必要がある。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • 走査型プローブ顕微鏡 (SPM)

SPM(走査型プローブ顕微鏡)とは、先端が先鋭化されたプローブを走査して表面構造を観察する顕微鏡の総称。検出方式の違いにより、STM(走査型トンネル顕微鏡)とAFM(原子間力顕微鏡)などが含まれる。同一装置でアタッチメントを交換することにより、STM、AFMいずれも測定が可能なことが多い。AFMの応用測定である、MFM、 SPoM、EFMなど様々なモードの総称としても使われる。
SPMは、プローブ(Probe)を走査(Scan)して小さなものを拡大して観る(Microscope)という共通の動作原理に着目して、“Scanning Probe Microscope”、つまり“SPM(走査型プローブ顕微鏡)”と呼ばれるようになった。これらによって、形状以外に豊富な種類の情報をナノスケールの分解能で測定できるようになった。

関連製品:原子間力顕微鏡システム


た行

  • タース (TERS)

Tip Enhanced Raman Spectroscopyの略。鋭利な金属表面にラマン光を照射するとそのエッジ効果により大幅にラマン光が増幅される。AFMは、プローブ先端を近接場領域でコントロールすることができるので、プローブによりラマン光強度を増強することができる。

関連製品:Innova , BioScope Catalyst


  • ダイナミックモード (Dynamic mode)

AC-Mode 或いはタッピングモードと同じ意味合いで使用される。プローブがダイナミック(AC)動作をすることで呼ばれることがある。


  • ダイヤモンドプローブ (Diamond Probe)

プローブ先端部分がダイヤモンドで作られたプローブである。測定動作上、サンプル間の力が大きく摩耗を防ぐ目的か、或いはサンプルの硬度を測定するため(サンプルに圧痕をつけられるように堅い先端が必要)に利用される。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • タッピングAFM (Tapping AFM)

タッピングAFMモードは、コンタクトAFMで発生する摩擦の問題を解決するために、開発されたAFMモードである。
断続的にサンプル表面にAFM用プローブが接触をするように、プローブの共振周波数で加振しながら測定を行う。幅広いサンプルに対して非破壊で測定できるために、これまではもっとも標準的なモードとして採用されてきた。


  • 探針

プローブと同義である。


  • チューニング (Tuning)

ACモードにおいてプローブを共振する場合に、プローブの固有共振周波数で加振させる。プローブ毎にその値が異なるので、プローブを交換する毎に、このチューニングを実施して、測定条件のセットポイント等を決める。


  • チューブ型スキャナ

XYZのピエゾを円筒形に貼り合わせたものをチューブ型スキャナという。
高分解能のスキャナは、この構造を用いている。その理由は、SPMはZ方向の分解能を上げて測定をする必要から、Z方向の剛性を限りなく高くすることが求められる。
例えば、薄い紙を円筒形に丸めて、その真上から重いものを乗せてみても崩れない。それは円筒形が垂直方向へ剛性が高いことの証明である。


  • 超高真空(UHV)

ウルトラハイバキューム。SPMの測定は電子顕微鏡とは異なり、真空環境は不要である。
ただし、サンプルが空気中の酸素によって酸化される等の反応の影響を回避する目的で、ウルトラハイバキュームの中で電子像等の高分解能測定を行うことがある。
この場合気をつけなければいけないのは、プローブのQ値が大幅に上がることである。
必要に応じて、Qコントロールの処置を行う必要がある。


  • ツナ (TUNA)

トンネリングAFMのこと。半導体あるいは導電性の低い試料にバイアスを印加して微小リーク電流を計測すること。数十fAというレンジまで測定が行える。当初は半導体のゲート酸化膜の絶縁性の評価に使用された。


  • ティーアールツナ (TR-TUNA)

TRmodeとTUNA(トンネリングAFM)を組み合わせた測定モードである。TRmodeの動作とTUNAを組み合わせることにより、これまで測定困難だったポリマー等の柔らかいサンプルがTR-TUNAでは測定可能になった。


  • ティーアールモード (TR mode)

Torsional Resonant mode(ねじれ共振モード)である。TRモードは、カンチレバーが横にAC振動を行う。振動している状態でProbeが試料表面にぎりぎり近付くと、その運動にブレーキをかける力が発生する。これをシアフォースと呼ぶ。TRモードで試料に近づくと同様にシアフォースが発生して横の振動振幅を減少させる作用をおこす。一定振幅を維持しながら試料表面をスキャンすると、一定の距離を維持しながらプローブが動作するので、凹凸情報のイメージングが可能になる。 また、電気測定を行う場合には、一般のACモードは一般的に縦方向に振動させるので、プローブが試料面に対して遠くになったり近づいたりするために、電気的測定等においては不安定な測定環境になる。TRモードは横にわずか1nm程度の振幅で振動しているだけなので、試料表面から常に等距離になる為に電気測定等にも向いている。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • ディーエーシー (DAC)

D/Aコンバータの意味である。PC制御系からSPMのスキャナ等に信号を送って動作をする際に、デジタル信号をアナログに変換することが必要になる。SPMの回路では、フィードバックをしながらリアルタイム制御をおこなっているために、たくさんのDACを内蔵している。


  • ディーシーモード (DC-mode)

プローブを加振しないで、試料表面をラスタースキャンする測定モードをDCモードと呼ぶ。代表的なものとしては、STM、コンタクトAFMモードがある。


  • ディメンジョンAFM (Dimension AFM)

SPM・AFMは、当初は試料サイズも小さく、研究開発では使えても、半導体ウエハの非破壊で測定できるSPMは歴史的に後で開発された。Dimension AFMは、世界中の市場で最も多く使用されている弊社の大型試料用AFMの総称である。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon , Dimension Fast Scan


  • 定量マッピング

AFMの三次元形状像は、定量的な画像が計測できるマッピングと呼べる。
しかしながら、他の力勾配については定性的なレベルでは使用できても、定量的になると様々な問題があり、定量値をダイレクトに得ることが難しい。
長い間、期待された機能で、この定量的なマッピングを可能にしたものがPeakForce QNMである。


  • テスプ (TESP)

Tapping Edged Silicon Probeの略。タッピングAFM用に標準的なプローブで最も標準的に使用されている。単結晶性シリコンを材料としている。


  • 電気化学AFM (EC-AFM)

電気化学AFMである。液中において電気化学反応で試料表面が変化していく状態をin-situでAFM形状を測定するものである。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , Innova


  • 電気化学STM (EC-STM)

電気化学STMには二通りのアプリケーションがある。標準的には、液中において電気化学反応で試料表面の形状が変化していく状態をin-situでSTM観察するのがアプリケーションになる。
しかしながら、STMの高分解能測定の場合、測定環境をよくする為に液中環境下でSTM測定を行う場合がある。
その場合、液自体が電位を持つためにトンネル電流が流れるように液の電位を制御する必要が出てくる。その目的のためにこの電気化学STMを利用することもある。

関連製品:MMAFM-8


  • 電気力顕微鏡 (EFM)

電気力顕微鏡はプローブにDCバイアスを印加して検出される電気力勾配をマッピングする測定モードである。代表的なノンコンタクトモードの測定手法である。


  • トラッキングレンズ

プローブスキャン方式のSPMではプローブがピエゾのスキャンに同期してX-Y方向に動作する。光てこの場合、プローブの背面にレーザーが照射されており、プローブスキャン動作によりレーザー光がプローブの背面上を動いて誤差を生んでしまうリスクがある。これを防ぐために、スキャンするピエゾにレンズを固定するとこのレンズがピエゾの動きにより、プローブの背面にレーザーが常に同じ位置で照射されるように動作してくれる。これをトラッキングレンズと呼んでいる。


  • トンネリング顕微鏡 (TUNA)

トンネリングAFMのこと。半導体あるいは導電性の低い試料にバイアスを印加して微小リーク電流を計測すること。数十fAというレンジまで測定が行える。当初は半導体のゲート酸化膜の絶縁性の評価に使用された。


な行

  • ナノ(㎚)

10-9mのスケールを意味する。


  • ナノインデンテーション (Nano Indentation)

ナノスケールの空間分解能でおこなう硬度測定技術である。この機能単独の装置も存在するが、ナノスケールで試料表面を観察したうえで、その部分の試料面の硬さを計測するには、AFMと一体になっていたほうが便利である。このナノインデンテーションには、AFMの一部のオプションとしての簡易的な手法のものと、ヤング率もきちんと計測できる高度なものの2種類が存在する。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , AFM/SPM用プローブ


  • ナノスコープ (NanoScope)

弊社のSPMコントローラの登録商法である。意味は、“nanoをscope(詳しく調べる)する”ということ。約20年前に初めて世の中にSTMという製品の商品化に成功して時点で、今では当たりまえの“nanoテクノロジー”の世界をはっきり視野にいれていたことが判る。

関連製品:原子間力顕微鏡システム


  • ナノマニピュレーション (Nano Manipulation)

AFMで行うナノレベルのマニピュレーションを呼ぶ。(詳細はマニピュレーションの項を参照のこと。)

関連製品:Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • 軟エックス線(Soft X-ray)

AFM測定に影響与える条件の中に試料が帯電してしまい、その静電気にプローブが引っ張られて測定が困難になる場合はある、SAW フィルター或いは酸化膜のついた半導体デバイスはこうした問題が多いために、試料表面の電荷を放電させる必要がある。その方法として軟X線を試料表面に照射するとX線によって、イオン化されたイオンと電荷で相殺され、ディスチャージ効果が得られる。ただし、軟X線は取扱に制約がある為に、インタロック機構をつけて安全管理の対策を必要とする場合がある。


  • ニアフィールド (Near field)

光の波長より小さい物体の直径程度のごく近くにある電磁界のこと。
AFMは試料の表面近傍を一定の距離を保ってスキャンするので、ラマン光(近接場光)をAFMプローブにより増強させることができる。これをTERS(Tip Enhanced Raman Spectroscopy)とよんでいる。


  • 粘弾性測定

以前から粘弾性測定機能としてフォースモジュレーションが存在したが、試料を破壊してしまうことや、凹凸の影響をうける等の理由からあまり活用されていなかった。
最近、PeakForce QNMという画期的な機械特性の定量マッピングを高速で可能な機能が登場した。


  • ノイズフロア (Noise Floor)

AFMはZ軸方向でサブÅの分解能を持つ装置である為に、特にZ方向に振動を嫌うので、性能の高い防振台が不可欠である。しかしながら、防振台が100%完璧に振動を除去することは不可能である。そのために、装置を設置する建屋の床の振動がなるべく低い場所を選択する必要がある。そして、最後は、装置自体が持つ電気ノイズ、或いは剛性を含めた状態で、装置動作時にデータに乗ってくる振動(ノイズ)の議論になる。 この最終的に装置に乗ってくるノイズレベルをノイズフロアと呼ぶ。装置の性能を左右する重要な仕様である。


  • ノンコンタクトAFM (Non-Contact AFM)

ノンコンタクトAFMモードは完全非接触を目指したAFMモードである。大気中では、サンプル表面にフルイドレイヤーがあり、プローブが吸着する効果の影響をうけ、引力圏内での力勾配を検出しながらスキャンするのが大変難しいために、形状観察への応用の場合は、実際に運用されるアプリケーションが限られてしまう。しかしながら、リフトモードとインターリーブ機能を併用して、EFM、MFM、SPoM等のノンコンタクト測定に活用されている。


  • ノンリニアリティ (Non-linearity)

非直線性の仕様を言う。AFMでは、時にスキャナのインテグラル(積分)非直線性を意味する。(詳細は、リニアリティの項を参照のこと。)


は行

  • ハーモニックス (HarmoniX)

試料表面の機械特性(粘性・弾性・吸着力等)を測定するためにはフォースカーブを測定する必要がある。
しかしながら、フォースカーブは、測定に時間がかかるため、AFMのイメージングのようにマッピングするには、一般の測定手法では達成不可能である。その解決には、カンチレバーの共振周波数をはるかに超えた振動周波数のスピードでフォースカーブを検出する必要がある。このHarmoniXでは、カンチレバーに横方向の振動も同時に加えることで、カンチレバーの縦方向の固有共振周波数より遥かに早い高調波を高速測定して、その値を逆フーリエ変換計算でフォースカーブを高速で検出することを可能した画期的高速技術である。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • ハイアスペクトプローブ (High aspect probe)

AFMで測定する試料の中では、特に半導体のパターンにおいて、トレンチ構造やホール形状の凹凸を測定するアプリケーションがある。通常のプローブの先端形状は、三角錐(ピラミッド形状)になっており、細く深い構造には十分底までプローブの先端がたどり着けない場合がある。そうした場合に対応すべく、プローブ先端をエッチング技術やFIB加工技術で細長く加工して上記のようなハイアスペクトなサンプル面の測定を可能にしている。これらのプローブをハイアスペクト プローブと呼んでいる。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • バイオAFM (BioAFM)

生体試料測定専用AFMを呼ぶ。この名前で呼ばれるAFMは、倒立型光学顕微鏡とAFMが一体化された構造をしている。

関連製品:BioScope Catalyst


  • バイオスコープ (BioScope)

生体専用のBioAFMとして弊社が開発した商品群を呼ぶ。最新型はBisoScope Catalystである。

関連製品:BioScope Catalyst


  • バイオレバー (Bio-lever)

生体試料は柔らかいので通常のプローブより柔らかいバネ定数をもっている必要がある。また、液中で分解能を上げた測定が可能になるように、一般の大気中のプローブと仕様が異なる生体専用プローブである。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • ピークフォースQNM (PeakForce QNM)

PeakForce Tappingでは、高速でフォースカーブを計測してその値から実際の触圧をフィードバックに使用している。このフォースカーブにバネ乗数や弾性率計算の処理を同時に実行させることで、AFMの形状測定と全く同時に機械特性のマッピングが行える。弾性率、吸着力、ディフォメーション(変形)、エネルギー散逸等、全く同時に定量的マッピングが行える、画期的な機能である。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • ピークフォースタッピング (PeakForce Tapping)

ピークフォース・タッピングモードは2009年に開発された画期的AFMモードである。プローブとサンプル表面の触圧をリアルタイムで測定しフィードバックをする。
測定パラメータの設定はほぼ不要で、触圧を最小にコントロールでき安定した測定が可能である。今後、主流になる測定モードと市場で期待されている次世代AFMモードである。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • ピエゾ (Piezo)

スキャナに内蔵されている圧電素子である。電圧を印加すると伸縮動作を繰り返すので、SPMのプローブの駆動に利用している。


  • ピエゾレスポンス顕微鏡 (Piezo-Response Microscope)

PFM(Piezo-response Force Microscope)ともいう。Piezo-Response Microscopeとは、チップとサンプル間にACバイアスを印加し、ピエゾ材料の変移率をロックインアンプで検出し、形状と同時に計測ができる機能である。最近のSPMは高速のロックインアンプを複数搭載したものが多く、この測定も比較的簡単に測定可能になっている。

関連製品:Dimension Icon , MMAFM-8


  • 光検出器 (Photo detector)

プローブの変移の検出にレーダー光を用いるが、このレーザー光の変移を検出するために光の位置センサーの役割を果たす検出器がいる。この目的のためにAFMでは、4分割の光検出器を使用している。4分割によって、縦方向と横方向の動きを同時に検出できる仕組みになっている。


  • 光てこ方式 (Optical Lever Method)

カンチレバーの変位を計測するための方法の一つ。高精度なSPMでは、光てこ方式を用いるのが一般的。レーザーを使い、カンチレバーの変位量を「てこの原理」を使って、微小な変化を大きな変化としてディテクターで検出する。その増幅には、電気的回路が介在しないためノイズが非常に低い。
このほかに、SPMのカンチレバーの変位検出方式には、自己検知式がある。こちらは、レバーが変位した量を電気的(抵抗値の変化など)に検出するため、電気ノイズ等の存在により、感度が悪く、測定データを劣化させてしまう恐れがあり、推奨されない。現実に、20年の歴史を経てもやはり、ほとんどの場合この光てこ方式が採用されている。
高精度なSPMでは、この手法を使用したフィードバック回路がもっとも基本的である。他の方式(例えば、自己検知式プローブ)の場合には、電気ノイズ等が存在するために、非常に微小な信号を計測してフィードバックする回路が必要なSPMでは、測定データを劣化させてしまう恐れがあり、お勧めではない。現実に、20年の歴史を経てもやはり、ほとんどの場合この光てこ方式が採用されている。


  • ピコ(pm)

10-12mのスケールを意味する。


  • ピコフォースSPM

数十pN/mレベルの分子間結合力等の超微細力をカンチレバーを利用して計測可能なシステムである。
標準MMAFM型SPMのオプティカルヘッドのノイズ分を下げて、pN/mレベルの分解能が得られるようにグレードアップされたSPMである。
力フィードバック回路を内蔵していたために、結合力や、吸着力を手で直接感じることができたユニークな装置である。

関連製品:MMAFM-8


  • ヒステリシス (Hysteresis)

SPMの駆動部分であるスキャナには、ピエゾ(圧電素子)が採用されている。ピエゾ材料は、印加電圧に対してリニアに伸縮してくれず、伸びる場合と縮む場合にほぼ反転したようなカーブをたどる。
これをヒステリシス現象と呼ぶ。


  • 表面電位顕微鏡 (SPoM) 

表面電位顕微鏡は、SPMプローブにAC電圧、DC電圧を印加して、プローブとサンプル表面間で作用する力がゼロになるDC電圧を検出する。
検出信号が小さいので、位相検出により高いS/Nで表面電位のマッピングが可能である。
試料表面の凹凸を測定してその凹凸の情報を排除するインターリーブスキャンをしているという特徴がある。別名KFM(Kelvin Force Microscope)とも呼ばれる。


  • VC-D基準

VC-D基準という振動レベルを示している。レベルによってVC-A、VC-B等がある。
VC-Dは精密機器を設置する環境に必要とされている振動条件であるので、設置環境が予めこの条件を満たしているかどうか調査をしておくのとスムーズな装置の設置が可能になる。


  • フィードバック (Feed Back)

SPMの検出機構で一番の心臓部分とも言える重要な機構である。SPMはプローブと試料間で働く力勾配の変移を捉えて、それを一定に値に戻す際に必要な電圧値を信号として検出している。その一定に値に戻すために、このフィードバック回路が使用される。


  • フェムト(fm)

10-15mのスケールを意味する。


  • フェムトアンペア (fA)

10-15A。TUNAは微小電流を検出でき、数十fAレベルの電流検出が可能になっている。


  • フォースカーブ (Force Curve)

プローブが試料表面に近づいて、試料に接触し、少し押し込んだ後に試料表面から離れる動作を行うと、プローブと試料表面間では、斥力や吸着力等様々な力が働く。この状態を一連のデータとして計測すると得られるカーブをフォースカーブと呼ぶ。 当初は、コンタクトAFMの接触している力のモニターやパラメータの調整等に利用したが、近年はこのフォースカーブから斥力、吸着力だけでなく試料の粘性・弾性等の情報が得られる等、様々な情報が得られるため、ますます重要な機能になってきている。


  • フォースボリューム (Force Volume) 

フォースカーブは、一点においてプローブを上下させるので、一ヶ所の情報になってしまう。試料全体の情報を得るには、多点における情報が必要なる。フォースボリュームは、フォースカーブを多点で連続自動測定してくれる機能である。


  • プリング (Pulling) 

プリング、或いはフィッシングとも呼ばれる。Z軸がクローズドループであるスキャナを用いて、プローブの先端に分子を吸着させた状態でZ方向に引き上げることで、分子間の結合力や分子自身の破壊を起こすために必要な力を計測できる。ナノテクノロジーの中で非常に重要視されたSPM機能の一つでもある。


  • フルイドレイヤー (Fluid layer) 

大気中において試料表面にプローブの先端を近づけると、試料表面にあるごく薄い水の層によりプローブが引き寄せられる現象が観察される。この水の層の存在がコンタクトAFMで重要な役割を果たす。一般にフルイドレイヤーと呼ばれる。


  • プローブ (Probe)

ProbeとはSPMでサンプルの微小領域を計測し、表面の形状およびインタラクションを検出する部分である。
SPMのプローブには、STM用のチップとAFM用のカンチレバータイプがある。
STM用は、細長い針状の形状しており、これも大きく二つのタイプがある。1つ目は、機械研磨されて先端に原子が出ているタイプで、これは原子像の測定に使用される。もう一つは、スキャン方向に依存しないで凹凸形状を測定できるというメリットのある電解研磨式のものである。材料にはそれぞれ、PtIr(白金イリジウム)およびW(タングステン)が使用される。
一方、AFMにも材料が何種類かあるが、形状測定にはコンタクトAFM用或いは液中タッピングAFM用にはバネ定数の小さいシリコンナイトライド製のものが使用される。大気中のタッピングAFM用にはシリコン単結晶のプローブが使用される。
AFMプローブには、その他に金属コートしたプローブやハイアスペクト化したもの等様々なものが用意されている。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • プローブスキャン (Probe scan method) 

SPMにてスキャンをしてイメージングを行う場合、その構造において、試料側を動かすタイプとプローブを動かすタイプが存在する。試料サイズに関係なく測定できるSPMはプローブスキャン方式になる。試料が大きくなると試料を駆動することが難しくなるためである。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon


  • 分解能 (Resolution) 

Z方向の分解能、X-Y方向の分解についてディスカションされる。ADコンバータのビット数やスキャンする際の分割メモリサイズによって、1画素あたりにいくらの数値で割り振られるか決まってくる。しかしながら、本当の重要な分解能は、やはりZ方向の分解能になる。しかしながら、ノイズフロアが大きい装置では、数値上の分解能は無意味で、ノイズフロアが分解の意味になるということが要注意である。


  • ポイント&シュート (Point & Shoot) 

クローズドループスキャナを採用すれば、Zに限らずX-Y方向にも正確に位置制御が可能になる。そうすると、単なるラスタースキャンによるイメージング測定ではなく特定の位置にプローブを移動させて、それぞれの位置における様々な測定 (例えI/Vカーブ計測)が可能になる。ポイント&シュートは、文字通り測定ポイントをマウス等で選んで、その位置にプローブが正確に移動して指示された測定を行うためのソフトウエアである。


ま行

  • 摩擦力顕微鏡 (Friction Force Microscope)

Lateral Force Microscope (LFM)とも呼ばれる。コンタクトAFMモードでプローブが試料表面を90度方向にスキャンした場合、それぞれの摩擦力の違いによってカンチレバーのねじれが異なってくる(摩擦が大きくなるとねじれも大きくなる)。その情報をマッピングすることで、摩擦力の違いのマッピング像が得られる。かなり力が大きく、摩擦により試料表面が破壊されるので、現在では位相検出モード(位相イメージング)がより多く用いられている。


  • マニピュレーション (Manipulation)

マニピュレーションは、主にプローブの先端で試料を操作することである。例えば、粒子或いは原子をプローブ先端で移動させて、文字を書いたりする実験は世界的によく知られている。また最近では、プローブで分子を引っ張って分子間の結合力を調べたり、プローブ先端に試料とインタラクションを起こす材料で機能化させて、そのインタラクションの実験をおこなうこともよく行われている。

関連製品:Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • マルチモードSPM (Multimode SPM) 

SPMの最初の機能はSTMであった。一台の装置で1種類の測定モードを有していた。しかし、その後コンタクトモードAFMが開発され、タッピングAFMモードなど、次々と開発され、一台の装置で多種類の測定モードが可能になったため、そのマイクロスコープを弊社(旧デジタル・インスツルメンツ社)は、マルチモードSPMとネーミングした。このマイクロスコープは、世界で最多の納入実績を誇っている。

関連製品:MMAFM-8


  • ミクロン(マイクロメートル、㎛ )

10-6mのスケールを意味する。


  • ミリ(mm)

10-3mのスケールを意味する。


  • ミロー (MIRO) 

AFMのイメージは倍率を下げてもかなり高倍率になってしまう。そのために光学顕微鏡で場所探しをして、その光学顕微鏡の情報をもとにAFMの測定のためにどこにプローブ移動すべきかを決定する手法がとられる。生体試料専用AFMであるBioAFMでは、倒立型光学顕微鏡とAFMが一体型になっているために、このニーズが非常に高い。MIROは、この目的のために開発されたソフトウエアで、光学顕微鏡像とAFM像を重ね合わせて位置のキャリブレーションが正確にでき、結果光学顕微鏡像の上で、AFMの測定位置が正確に決定できる。操作性の優れている点は、光学顕微鏡の画像データは特定のデータフォーマットを有しているので、一般にはAFMに取り込む前に、PCでデータフォーマットを変換する必要があるが、このMIROはダイレクトにAFMのソフトに光学顕微鏡のデータを取り込むことができるので、非常に便利である。

関連製品:BioScope Catalyst


  • メインスキャン

インターリーブ機能は、同じ場所を2つの異なった測定モードで測定するために全く独立したパラメータを設定できる。最初のスキャンは一般的に形状情報の測定に使用される。この最初のスキャンをメインスキャンと呼び、2回目のスキャンをインターリーブスキャンと呼ぶ。


  • モジュレーション (Modulation)

フィードバック回路において、ACモードで同時に変移する信号には、振幅、周波数、位相が存在する。理論的には、どれを変調させてもフィードバックが可能である。周波数で行う場合は、Frequency modulation と呼ぶ。
また、ZピエゾにACバイアスを印加してAC振動させる場合をZモジュレーションと呼ぶ。


  • モフォロジー (Morphology) 

サンプル表面の凹凸等情報を意味する。


や行

  • ヤング率

プラスチック材料は、塑性変形する部分と弾性的な性質も持っている。この弾性率の部分数値単位を示す。


  • ユーエイチブイ (UHV)

超高真空(ウルトラハイバキューム)。SPMの測定は電子顕微鏡とは異なり、真空環境は不要である。ただし、サンプルが空気中の酸素によって酸化される等の反応の影響を回避する目的で、ウルトラハイバキュームの中で電子像等の高分解能測定を行うことがある。
この場合気をつけなければいけないのは、プローブのQ値が大幅に上がることである。必要に応じて、Qコントロールの処置を行う必要がある。


  • 横振動モード

一般のACモードは、縦振動モードである。プローブを共振周波数で加振してその変移から力勾配のフィードバックを行う。縦振動は、たくさんのメリットがあるがディメリットもある。上下に運動するために、凹凸の大きな試料面ではプローブの追従性が悪い。
また、縦方向はカンチレバーの柔らかい方向なので、共振周波数が低いので高速振動には向いていない。
一方、横振動ACのノンコンタクトモードは、常に試料表面近傍で振動できるし、シアフォースをフィードバックに利用できるので、測定モードにおいては、大変大きなアドバンテージがある。この横振動モードを、TRmode(ねじれ共振モード)と呼ぶ。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


ら行

  • ラスタースキャン (Raster Scan)

プローブがX軸方向を往復運動しながらY方向に移動する動きで、四角いエリア状をプローブがスキャンすることを意味する。


  • ラウンドスキャン

ピエゾは大きく印加する電圧の極性が変化する場所でヒステリシスの影響を受ける。そのために、スキャナがX軸方向で往復運動する際のスキャン方向が反転する部分でデータの信頼性が落ちる。そのために、その反転部分の電圧の変化が滑らかに起きるようにプローブの動作をラウンド状にターンするように電圧を制御する方法がある。これをラウンドスキャンと呼ぶ。


  • リソグラフィー (Lithography) 

プローブを任意に駆動して半導体パターン等を描き、陽極酸化法等で微細な回路を作成したりすることが可能である。半導体製造で採用されている手法より線幅が狭くできるという点で着目されている。また、コンタクトモードでスクラッチをして描写する等の作業ができる。残念ながら、SPMのスピードの問題で量産技術に持っていくことが困難なため、研究的な範囲で利用されている。


  • リニアリティ (Linearity)

SPMの機能で議論されるリニアリティは、ほとんどの場合インテグラルノンリニアリティ(Integral Non Linearity)のスペックになる。特に駆動部分のスキャナについてこのインテグラルノンリニアリティの仕様は重要になる。ピエゾの駆動に為に印加する電圧範囲での電圧の両端における誤差値が何%以内に収まるかが問われる。


  • リフトモード (Lift mode)

インターリーブスキャン機能のメインスキャン(最初のスキャン)でタッピング等の形状測定を行い、2回目のスキャンに表面電位等のノンコンタクトモード測定をする際に、プローブを任意の高さまでリフトさせることができる。形状の凹凸が大きい場合にはリフト量を大きくして形状の影響を少なくし、信号レベルが小さい時はリフト量を小さくして感度を優先することが可能である。その他、多くの有効な応用例がある。


  • レーザー光 (Laser Light)

プローブの変移を正確に検出する必要がある。そのためにプローブの背面にレーザー光を照射して、プローブの動作により変化を受けるレーザー光の位置のもとに戻すフィードバック方式をほとんどの高性能SPMは採用している。この方式を光てこ方式と呼んでいる。一般に使用するレーザーは、オペレータが調整し易いように目で確認できる赤の波長帯(670nm或いは690nm)のレーザーを使用している。しかしながら、蛍光顕微鏡等と一体で使用するAFM(BioAFM等)では、試料を励起して蛍光観察を妨げないように、波長の長い赤外帯のレーザーを採用している。



  • ロックインアンプ (Lock-in-amplifier)

ロックインアンプは特定の周波数の信号を検出して増幅させる回路で、様々な目的でSPMの中でも使用されている。標準SPMで初期から利用されている代表的な例は、取り込みデータのS/Nを改善するためのものである。しかし、SPMの設計で十分ノイズを小さく設計できれば、この目的には必ずしも必要ない。そのために、弊社(旧デジタルインスツルメンツ社)の開発したNanoScopeIIIaは、このロックインアンプを使用していない。最近の新しいアプリケーションで外部信号と同期してデータを取り込む機能や高速回路等には、ロックインアンプが使用されている。Piezo response、HarmoniX等の測定にはロックインアンプは不可欠である。弊社のNanoScope Vコントローラは、標準で3つのロックインアンプを内蔵している。


わ行

  • Y オフセット (Y offset)

Y方向に測定の中心位置を大きく移動する際に使用する。原理はX offsetと同じ。


  • Y-スキャン (Y-scan)

スロースキャン側とも言う。X方向が一往復の動作をした際にY軸はわずかに1ピクセル分移動するだけである。非常にゆっくりした方向の動作である。AFMで測定の再現性を確認したい場合には、このY-scanを停止させてX方向を繰り返し観察しながら最適パラメータを調整する作業を行う。


  • ワラストンワイヤー (Wollaston Wire) 

Wollaston Wireは白金ロジウム製であり、マイクロ熱分析測定を行うプローブである。 一般のプローブのように先端を細く加工できなったが、現在は更に空間分解能があげられる新プローブ技術が開発されたために、ナノ熱分析測定に移行している。


アルファベット

A

  • AC-AFM

代表的なAC-modeの一つ。カンチレバーを振動させながら測定するノンコンタクトAFMと断続的に試料表面に接触を繰り返しながら測定するタッピングAFMモードを意味する。

関連製品:MMAFM-8 , Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • AC-mode (エイシーモード) 

カンチレバーを振動させて、その変移や力勾配の変化を利用して測定するモードを示す。ノンコンタクトモードやタッピングAFMモード等が含まれる。
これに反してカンチレバーを振動せずに測定するモードをDC modeと呼んでいる。


  • ADC (Analog to Digital Converter/エイディーシー)

ADコンバータである。計測される生データはアナログである為に、PC制御するためのデジタルデータに変換する必要があり、SPMの制御系にはたくさんのADコンバータが内蔵されている。このスピードが測定スピードにも関係している。


  • Adhesion (吸着力)

サンプルの機械特性によって、カンチレバーが試料に引っ張られる、この力をAdhesion(吸着力)と呼ぶ。この力はコンタクトモードでは摩擦力を大きくし、タッピングAFMモードのようなACモードでは、振動の位相を遅らす力勾配として働く。
これらを検出することで、試料表面の特性を知ることができる。

  • AFM (Atomic Force Microscope/原子間力顕微鏡)

AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)とは、小さなシリコン製プローブを使って試料表面の形状や粗さを3次元で計測できる顕微鏡のことである。
プローブと試料表面の原子間に働く力を一定に保つようにフィードバックをかけながら試料表面をスキャンすることで、試料の粗さや凹凸像の観察を行う。
試料の導電性に関係なく形状測定が可能で、真空環境でなくても原子像のような高分解能で計測できる特徴がある。測定が可能な環境が、大気中以外にも、液中、雰囲気中、真空中と大変幅広く、AFMとしての測定モードにも様々なものが存在する。

関連製品:原子間力顕微鏡システム , AFM/SPM用プローブ


B

  • BioAFM (バイオAFM) 

生体試料測定専用AFMを呼ぶ。この名前で呼ばれるAFMは、倒立型光学顕微鏡とAFMが一体化された構造をしている。

関連製品:BioScope Catalyst


  • Bio-lever (バイオレバー)

生体試料は柔らかいので通常のプローブより柔らかいバネ定数をもっている必要がある。また、液中で分解能を上げた測定が可能になるように、一般の大気中のプローブと仕様が異なる生体専用プローブである。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • BioScope (バイオスコープ)

生体専用のBioAFMとして弊社が開発した商品群を呼ぶ。最新型はBisoScope Catalystである。

関連製品:BioScope Catalyst


C

  • C-AFM (Conductive AFM/コンダクティブAFM)

コンダクティブAFM顕微鏡は、バイアスを印加して試料内を流れる微小な電流を計測する。TUNA(トンネリングAFM顕微鏡)と比較して導電性の高い試料に対応するもの。導電性ポリマーの測定等、幅広い試料に対応する。


  • Calibration standard (キャリブレーションスタンダード)

一般のオープンループスキャナにおいては、スキャナが正確な精度でスキャンできるようにキャリブレーションが必要になる。
そのために、予め公の測定機関が実測して正確な寸法が分かっている格子状のサンプルが市販されている。これを、キャリブレーションスタンダード(或いは、スタンダードサンプル)と呼ぶ。
AFMで一般的に使用されているものは、USのNIST トレーサブルのスタンダードである。


  • Cantilever (カンチレバー)

AFM測定用Si製プローブのことを意味する。形状が片持ち針になっているので、プローブと同義語としてカンチレバーと呼ばれている。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • CL-Head(Closed Loop - Head/クローズドループヘッド)

基本的にCL-Scannerと同じ場所を呼ぶ。詳細の違いは、スキャナは駆動するピエゾ部分のみの構造を示し、一方CL-Headはそのスキャナに光てこのレーザーや件検出器を含めた全体の部分を意味する。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • Closed Loop Feedback (クローズドループフィードバック)

SPMの基本動作原理は、プローブ先端と試料表面間で働く力勾配を設定された一定の値に戻るようにフィードバックをかけて、そのフィードバックに使用された制御信号値(例えば、電圧V)を測定値するものである。
そのために、共通仕様としてこのクローズドループフィードバックがいる。略して、フィードバックとも言う。

関連製品:MMAFM-8 , Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • CL-Scanner(Closed Loop - Scanner/クローズドループスキャナ) 

スキャナには、オープンループタイプとクローズドループタイプがある。
スキャナの駆動部に圧電素子(ピエゾ)が使用されているが、そのヒステリシスの影響を排除する方法として、内部に別のセンサーを内蔵させてその信号をダイレクトに読みながら、指定した値まで正確に動くようにクローズの系で制御するスキャナをクローズドループスキャナと呼ぶ。


  • Contact AFM (コンタクトAFM) 

コンタクトAFMは、最も基本的なAFMモードである。プローブをサンプルに接触させた状態でスキャンをする。サンプルとAFMプローブ(カンチレバー)の先端のチップ間で摩擦力が発生するために、柔らかいサンプルを押しこんだり、傷をつけたりする可能性がある。原理的に分解能が高い利点があり、そのために原子像を測定する場合と摩擦を測定する場合に利用される。


  • Creep (クリープ)

一般に使用されているオープンループスキャナは、予めキャリブレーションされており、その校正値をピエゾ感度として記憶されている。
その印加された電圧によりそのピエゾ感度で決められた距離を駆動するしくみである。しかしながら、Zピエゾのように高速で動作する必要があるピエゾが、ステップハイト形状の試料のように瞬間的に伸び縮みをする場合は、瞬間的にピエゾが期待された位置まで動作できない。
フィードバック回路は、自動的にその不足する分を含めて瞬時に移動させることができる電圧を印加してしまうために、真値より大きな値として検出している。このような現象をクリープ現象と呼ぶ。ハイアスペクトサンプルのエッジ部分にその現象が起こる。


D

  • DAC(Digital to Analog Converter/ディーエーシー)

D/Aコンバータの意味である。PC制御系からSPMのスキャナ等に信号を送って動作をする際に、デジタル信号をアナログに変換することが必要になる。SPMの回路では、フィードバックをしながらリアルタイム制御をおこなっているために、たくさんのDACを内蔵している。


  • DC-mode (ディーシーモード)

プローブを加振しないで、試料表面をラスタースキャンする測定モードをDCモードと呼ぶ。代表的なものとしては、STM、コンタクトAFMモードがある。


  • Diamond Probe (ダイヤモンドプローブ) 

プローブ先端部分がダイヤモンドで作られたプローブである。測定動作上、サンプル間の力が大きく摩耗を防ぐ目的か、或いはサンプルの硬度を測定するため(サンプルに圧痕をつけられるように堅い先端が必要)に利用される。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • Dimension AFM (ディメンジョンAFM) 

SPM・AFMは、当初は試料サイズも小さく、研究開発では使えても、半導体ウエハの非破壊で測定できるSPMは歴史的に後で開発された。Dimension AFMは、世界中の市場で最も多く使用されている弊社の大型試料用AFMの総称である。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon , Dimension Fast Scan


  • Dynamic mode (ダイナミックモード) 

AC-Mode 或いはタッピングモードと同じ意味合いで使用される。プローブがダイナミック(AC)動作をすることで呼ばれることがある。


E

  • EC-AFM(Electro Chemistry - AFM/電気化学AFM) 

電気化学AFMである。液中において電気化学反応で試料表面が変化していく状態をin-situでAFM形状を測定するものである。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , Innova


  • EC-STM(Electro Chemistry - STM/電気化学STM)

電気化学STMには二通りのアプリケーションがある。標準的には、液中において電気化学反応で試料表面の形状が変化していく状態をin-situでSTM観察するのがアプリケーションになる。
しかしながら、STMの高分解能測定の場合、測定環境をよくする為に液中環境下でSTM測定を行う場合がある。
その場合、液自体が電位を持つためにトンネル電流が流れるように液の電位を制御する必要が出てくる。その目的のためにこの電気化学STMを利用することもある。

関連製品:MMAFM-8


  • EFM(Electric Force Microscope/電気力顕微鏡)

電気力顕微鏡はプローブにDCバイアスを印加して検出される電気力勾配をマッピングする測定モードである。代表的なノンコンタクトモードの測定手法である。


  • Engage (インゲージ)

インゲージと呼ぶ。測定を開始する時にプローブが試料表面にアプローチしてフィードバックonになった時点でスキャンを開始する。この動作を言う。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


F

  • Feed Back (フィードバック) 

SPMの検出機構で一番の心臓部分とも言える重要な機構である。SPMはプローブと試料間で働く力勾配の変移を捉えて、それを一定に値に戻す際に必要な電圧値を信号として検出している。その一定に値に戻すために、このフィードバック回路が使用される。


  • Fluid layer (フルイドレイヤー) 

大気中において試料表面にプローブの先端を近づけると、試料表面にあるごく薄い水の層によりプローブが引き寄せられる現象が観察される。この水の層の存在がコンタクトAFMで重要な役割を果たす。一般にフルイドレイヤーと呼ばれる。


  • Force Curve (フォースカーブ) 

プローブが試料表面に近づいて、試料に接触し、少し押し込んだ後に試料表面から離れる動作を行うと、プローブと試料表面間では、斥力や吸着力等様々な力が働く。この状態を一連のデータとして計測すると得られるカーブをフォースカーブと呼ぶ。 当初は、コンタクトAFMの接触している力のモニターやパラメータの調整等に利用したが、近年はこのフォースカーブから斥力、吸着力だけでなく試料の粘性・弾性等の情報が得られる等、様々な情報が得られるため、ますます重要な機能になってきている。


  • Force Volume (フォースボリューム)

フォースカーブは、一点においてプローブを上下させるので、一ヶ所の情報になってしまう。試料全体の情報を得るには、多点における情報が必要なる。フォースボリュームは、フォースカーブを多点で連続自動測定してくれる機能である。


  • Free Amplitude (自由振幅)

ACモードにおいて、試料から十分離れたところで、プローブを共振周波数で振動させたときのプローブの振幅を言う。


G

  • Glove Box (グローブボックス)

測定する試料の雰囲気の制御のために、マイクロスコープ部をグローブボックスにいれて測定することがある。大気中の酸素による酸化を防いだり、湿度の調整をしたりするのが目的で、不活性ガス(窒素、アルゴン)等で置換する。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


H

  • HarmoniX (ハーモニックス)

試料表面の機械特性(粘性・弾性・吸着力等)を測定するためにはフォースカーブを測定する必要がある。しかしながら、フォースカーブは、測定に時間がかかるため、AFMのイメージングのようにマッピングするには、一般の測定手法では達成不可能である。その解決には、カンチレバーの共振周波数をはるかに超えた振動周波数のスピードでフォースカーブを検出する必要がある。このHarmoniXでは、カンチレバーに横方向の振動も同時に加えることで、カンチレバーの縦方向の固有共振周波数より遥かに早い高調波を高速測定して、その値を逆フーリエ変換計算でフォースカーブを高速で検出することを可能した画期的高速技術である。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • High aspect probe (ハイアスペクトプローブ)

AFMで測定する試料の中では、特に半導体のパターンにおいて、トレンチ構造やホール形状の凹凸を測定するアプリケーションがある。通常のプローブの先端形状は、三角錐(ピラミッド形状)になっており、細く深い構造には十分底までプローブの先端がたどり着けない場合がある。そうした場合に対応すべく、プローブ先端をエッチング技術やFIB加工技術で細長く加工して上記のようなハイアスペクトなサンプル面の測定を可能にしている。これらのプローブをハイアスペクト プローブと呼んでいる。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • Hysteresis (ヒステリシス)

SPMの駆動部分であるスキャナには、ピエゾ(圧電素子)が採用されている。ピエゾ材料は、印加電圧に対してリニアに伸縮してくれず、伸びる場合と縮む場合にほぼ反転したようなカーブをたどる。 これをヒステリシス現象と呼ぶ。


I

  • Interleave (インターリーブ)

SPMには、形状観察のAFMモード以外に多くの異なる測定モードが存在する。しかしながら、表の凹凸により他の力勾配の変移が正しく測定されないという問題を抱える。
そのために、AFMで凹凸を測定してその補正をした状態で他の測定を実施することが望ましい。このインターリーブは、同時に2種類の測定モードを実行させることができるので、AFMのイメージを測定して、その凹凸情報を補正しながら他の測定モード(MFM,EFM,又はSPoM)の測定を可能にする。

関連製品:MMAFM-8 , Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • I/V curve (アイヴイカーブ)

I/Vカーブ(特性)。TUNAやC-AFM(コンダクティブAFM)モードでは、プローブからバイアス(V)を印加して、同時に流れる電流(I)を測定できる。
AFMである以上一般的に、一定バイアス時に流れる電流のマッピングをAFM像と同じエリアで計測するが、プローブのスキャンを止めて、バイアス可変時の電流カーブを計測してより詳細な導電性の測定ができる。


J

  • J Scanner (Jスキャナ)

MMAFM(マルチモード)AFMは世界最多の使用実績を持つSPMである。
そのSPMで使用されているスキャナの中で125μmのスキャン範囲を持ちながら非常に高分解能が得られるオープンループスキャナが、J スキャナと呼ばれている。

関連製品:MMAFM-8


  • KFM (Kelvin Force Microscope/ケルビンフォース顕微鏡)

ケルビンフォース顕微鏡は、試料表面の電位測定ができる。
別名SPoM(Surface Potential Microscope)と呼ぶ。カンチレバーにAC、およびDCバイアスを印加して、プローブと試料間で働く力=0の位置を検出するフィードバックを行う。
ただし、実際の動作として、表面形状と表面電位を同時測定する方法と、表面形状測定をメインスキャンとして、インターリーブ機能を利用して凹凸の影響を取り除いたインターリーブスキャンができるものがある。


L

  • Laser Light (レーザー光)

プローブの変移を正確に検出する必要がある。そのためにプローブの背面にレーザー光を照射して、プローブの動作により変化を受けるレーザー光の位置のもとに戻すフィードバック方式をほとんどの高性能SPMは採用している。この方式を光てこ方式と呼んでいる。一般に使用するレーザーは、オペレータが調整し易いように目で確認できる赤の波長帯(670nm或いは690nm)のレーザーを使用している。しかしながら、蛍光顕微鏡等と一体で使用するAFM(BioAFM等)では、試料を励起して蛍光観察を妨げないように、波長の長い赤外帯のレーザーを採用している。


  • LFM (Lateral Force Microscope/水平力顕微鏡)

Friction Force Microscopeと呼ばれる場合もある。コンタクトAFMモードでプローブが試料表面を90度方向にスキャンした場合、それぞれの摩擦力の違いによってカンチレバーのねじれが異なってくる(摩擦が大きくなるとねじれも大きくなる)。その情報をマッピングすることで、摩擦力の違いのマッピング像が得られる。かなり力が大きく、摩擦により試料表面が破壊されるので、現在では位相検出モード(位相イメージング)がより多く用いられている。


  • Lift mode (リフトモード)

インターリーブスキャン機能のメインスキャン(最初のスキャン)でタッピング等の形状測定を行い、2回目のスキャンに表面電位等のノンコンタクトモード測定をする際に、プローブを任意の高さまでリフトさせることができる。形状の凹凸が大きい場合にはリフト量を大きくして形状の影響を少なくし、信号レベルが小さい時はリフト量を小さくして感度を優先することが可能である。その他、多くの有効な応用例がある。


  • Linearity (リニアリティ) 

SPMの機能で議論されるリニアリティは、ほとんどの場合インテグラルノンリニアリティ(Integral Non Linearity)のスペックになる。特に駆動部分のスキャナについてこのインテグラルノンリニアリティの仕様は重要になる。ピエゾの駆動に為に印加する電圧範囲での電圧の両端における誤差値が何%以内に収まるかが問われる。


  • Lithography (リソグラフィー)

プローブを任意に駆動して半導体パターン等を描き、陽極酸化法等で微細な回路を作成したりすることが可能である。半導体製造で採用されている手法より線幅が狭くできるという点で着目されている。また、コンタクトモードでスクラッチをして描写する等の作業ができる。残念ながら、SPMのスピードの問題で量産技術に持っていくことが困難なため、研究的な範囲で利用されている。


M

  • Manipulation (マニピュレーション)

マニピュレーションは、主にプローブの先端で試料を操作することである。例えば、粒子或いは原子をプローブ先端で移動させて、文字を書いたりする実験は世界的によく知られている。また最近では、プローブで分子を引っ張って分子間の結合力を調べたり、プローブ先端に試料とインタラクションを起こす材料で機能化させて、そのインタラクションの実験をおこなうこともよく行われている。

関連製品:Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • MFM (Magnetic Force Microscope/磁気力顕微鏡)

磁気力顕微鏡は、SPMモードの中でかなり早い段階でデータストレージ関係の企業で幅広く使用されてきたモードである。
試料表面に磁気で記憶された情報を高分解能でイメージングすることが可能。このSPMモードに使用されるプローブは、通常のプローブに磁化が可能な金属コートを施したものが使用されている。


  • MIRO (Microscope Image Registration and Overlay/ミロー)

AFMのイメージは倍率を下げてもかなり高倍率になってしまう。そのために光学顕微鏡で場所探しをして、その光学顕微鏡の情報をもとにAFMの測定のためにどこにプローブ移動すべきかを決定する手法がとられる。生体試料専用AFMであるBioAFMでは、倒立型光学顕微鏡とAFMが一体型になっているために、このニーズが非常に高い。MIROは、この目的のために開発されたソフトウエアで、光学顕微鏡像とAFM像を重ね合わせて位置のキャリブレーションが正確にでき、結果光学顕微鏡像の上で、AFMの測定位置が正確に決定できる。操作性の優れている点は、光学顕微鏡の画像データは特定のデータフォーマットを有しているので、一般にはAFMに取り込む前に、PCでデータフォーマットを変換する必要があるが、このMIROはダイレクトにAFMのソフトに光学顕微鏡のデータを取り込むことができるので、非常に便利である。

関連製品:BioScope Catalyst


  • Morphology (モフォロジー) 

サンプル表面の凹凸等情報を意味する。


  • Multimode SPM (マルチモードSPM)

SPMの最初の機能はSTMであった。一台の装置で1種類の測定モードを有していた。しかし、その後コンタクトモードAFMが開発され、タッピングAFMモードなど、次々と開発され、一台の装置で多種類の測定モードが可能になったため、そのマイクロスコープを弊社(旧デジタル・インスツルメンツ社)は、マルチモードSPMとネーミングした。このマイクロスコープは、世界で最多の納入実績を誇っている。

関連製品:MMAFM-8


N

  • Nano Indentation (ナノインデンテーション)

ナノスケールの空間分解能でおこなう硬度測定技術である。この機能単独の装置も存在するが、ナノスケールで試料表面を観察したうえで、その部分の試料面の硬さを計測するには、AFMと一体になっていたほうが便利である。このナノインデンテーションには、AFMの一部のオプションとしての簡易的な手法のものと、ヤング率もきちんと計測できる高度なものの2種類が存在する。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , AFM/SPM用プローブ


  • Nano-manipulation (ナノマニピュレーション)

AFMで行うナノレベルのマニピュレーションを呼ぶ。(詳細はマニピュレーションの項を参照のこと。)

関連製品:Innova , Dimension Edge , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • NanoScope (ナノスコープ)

弊社のSPMコントローラの登録商法である。意味は、“nanoをscope(詳しく調べる)する”ということ。約20年前に初めて世の中にSTMという製品の商品化に成功して時点で、今では当たりまえの“nanoテクノロジー”の世界をはっきり視野にいれていたことが判る。

関連製品:原子間力顕微鏡システム


  • Near field (ニアフィールド)

光の波長より小さい物体の直径程度のごく近くにある電磁界のこと。 AFMは試料の表面近傍を一定の距離を保ってスキャンするので、ラマン光(近接場光)をAFMプローブにより増強させることができる。これをTERS(Tip Enhanced Raman Spectroscopy)とよんでいる。


  • Noise Floor (ノイズフロア)

AFMはZ軸方向でサブÅの分解能を持つ装置である為に、特にZ方向に振動を嫌うので、性能の高い防振台が不可欠である。しかしながら、防振台が100%完璧に振動を除去することは不可能である。そのために、装置を設置する建屋の床の振動がなるべく低い場所を選択する必要がある。そして、最後は、装置自体が持つ電気ノイズ、或いは剛性を含めた状態で、装置動作時にデータに乗ってくる振動(ノイズ)の議論になる。 この最終的に装置に乗ってくるノイズレベルをノイズフロアと呼ぶ。装置の性能を左右する重要な仕様である。


  • Non-Contact AFM (ノンコンタクトAFM)

ノンコンタクトAFMモードは完全非接触を目指したAFMモードである。大気中では、サンプル表面にフルイドレイヤーがあり、プローブが吸着する効果の影響をうけ、引力圏内での力勾配を検出しながらスキャンするのが大変難しいために、形状観察への応用の場合は、実際に運用されるアプリケーションが限られてしまう。しかしながら、リフトモードとインターリーブ機能を併用して、EFM、MFM、SPoM等のノンコンタクト測定に活用されている。


  • Non-linearity (ノンリニアリティ)

非直線性の仕様を言う。AFMでは、時にスキャナのインテグラル(積分)非直線性を意味する。(詳細は、リニアリティの項を参照のこと。)


  • Open Loop Scanner (オープンループスキャナ)

SPMのスキャナにはオープンループスキャナとクローズドループスキャナの2種類が存在する。オープンループスキャナは、最も基本的なスキャナで、キャリブレーションされたピエゾ感度の値に基づいて電圧を印加して直接スキャンさせる手法である。構造が簡単なので、スキャナの持つノイズが最も小さく抑えられるので、高分解能測定に適している。しかしながら、高速或いは急峻に大きく変化する試料表面における測定では、正確に追従できない場合が発生するという弱点もある。それを補ったのがクローズドループスキャナである。


  • Optical Lever Method (光てこ方式)

カンチレバーの変位を計測するための方法の一つ。高精度なSPMでは、光てこ方式を用いるのが一般的。レーザーを使い、カンチレバーの変位量を「てこの原理」を使って、微小な変化を大きな変化としてディテクターで検出する。その増幅には、電気的回路が介在しないためノイズが非常に低い。
このほかに、SPMのカンチレバーの変位検出方式には、自己検知式がある。こちらは、レバーが変位した量を電気的(抵抗値の変化など)に検出するため、電気ノイズ等の存在により、感度が悪く、測定データを劣化させてしまう恐れがあり、推奨されない。現実に、20年の歴史を経てもやはり、ほとんどの場合この光てこ方式が採用されている。
高精度なSPMでは、この手法を使用したフィードバック回路がもっとも基本的である。他の方式(例えば、自己検知式プローブ)の場合には、電気ノイズ等が存在するために、非常に微小な信号を計測してフィードバックする回路が必要なSPMでは、測定データを劣化させてしまう恐れがあり、お勧めではない。現実に、20年の歴史を経てもやはり、ほとんどの場合この光てこ方式が採用されている。


P

  • PeakForce QNM (ピークフォースQNM)

PeakForce Tappingでは、高速でフォースカーブを計測してその値から実際の触圧をフィードバックに使用している。このフォースカーブにバネ乗数や弾性率計算の処理を同時に実行させることで、AFMの形状測定と全く同時に機械特性のマッピングが行える。弾性率、吸着力、ディフォメーション(変形)、エネルギー散逸等、全く同時に定量的マッピングが行える、画期的な機能である。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • PeakForce Tapping (ピークフォースタッピング)

ピークフォース・タッピングモードは2009年に開発された画期的AFMモードである。プローブとサンプル表面の触圧をリアルタイムで測定しフィードバックをする。
測定パラメータの設定はほぼ不要で、触圧を最小にコントロールでき安定した測定が可能である。今後、主流になる測定モードと市場で期待されている次世代AFMモードである。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • Phase Imaging (位相イメージング)  

位相イメージングはSPM機能のなかで非常によく使用されているモードである。原子間顕微鏡の凹凸イメージを同時に検出し、サンプルの物性等の違いの分布を計測できるSPM機能である。
物性の違いによるコントラストはあくまで定性的なもので、定量的な情報を得るには、最新のPeakForce QNMの機能が有効的である。

関連製品:原子間力顕微鏡システム


  • Photo detector (光検出器)

プローブの変移の検出にレーダー光を用いるが、このレーザー光の変移を検出するために光の位置センサーの役割を果たす検出器がいる。この目的のためにAFMでは、4分割の光検出器を使用している。4分割によって、縦方向と横方向の動きを同時に検出できる仕組みになっている。


  • Pico Force

数十pN/mレベルの分子間結合力等の超微細力をカンチレバーを利用して計測可能なシステムである。
標準MMAFM型SPMのオプティカルヘッドのノイズ分を下げて、pN/mレベルの分解能が得られるようにグレードアップされたSPMである。力フィードバック回路を内蔵していたために、結合力や、吸着力を手で直接感じることができたユニークな装置である。


  • Piezo (圧電素子)

SPMのスキャナは、Z軸、Y軸、X軸の3軸に駆動するためのピエゾ(圧電素子)を内蔵している。圧電素子は、ヒステリシスやクリープと言った扱いにくい面もあるが電圧を印加して微細に駆動制御でき、また一般駆動回路よりノイズが少ないというSPMで不可欠とする重要な仕様を持っている。


  • Piezo-Response Microscope (ピエゾレスポンス顕微鏡)

PFM(Piezo-response Force Microscope)ともいう。Piezo-Response Microscopeとは、チップとサンプル間にACバイアスを印加し、ピエゾ材料の変移率をロックインアンプで検出し、形状と同時に計測ができる機能である。最近のSPMは高速のロックインアンプを複数搭載したものが多く、この測定も比較的簡単に測定可能になっている。

関連製品:Dimension Icon , MMAFM-8


  • Point & Shoot (ポイント&シュート)

クローズドループスキャナを採用すれば、Zに限らずX-Y方向にも正確に位置制御が可能になる。そうすると、単なるラスタースキャンによるイメージング測定ではなく特定の位置にプローブを移動させて、それぞれの位置における様々な測定 (例えI/Vカーブ計測)が可能になる。ポイント&シュートは、文字通り測定ポイントをマウス等で選んで、その位置にプローブが正確に移動して指示された測定を行うためのソフトウエアである。


  • Probe (プローブ)

ProbeとはSPMでサンプルの微小領域を計測し、表面の形状およびインタラクションを検出する部分である。
SPMのプローブには、STM用のチップとAFM用のカンチレバータイプがある。
STM用は、細長い針状の形状しており、これも大きく二つのタイプがある。1つ目は、機械研磨されて先端に原子が出ているタイプで、これは原子像の測定に使用される。もう一つは、スキャン方向に依存しないで凹凸形状を測定できるというメリットのある電解研磨式のものである。材料にはそれぞれ、PtIr(白金イリジウム)およびW(タングステン)が使用される。
一方、AFMにも材料が何種類かあるが、形状測定にはコンタクトAFM用或いは液中タッピングAFM用にはバネ定数の小さいシリコンナイトライド製のものが使用される。大気中のタッピングAFM用にはシリコン単結晶のプローブが使用される。
AFMプローブには、その他に金属コートしたプローブやハイアスペクト化したもの等様々なものが用意されている。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


  • Probe scan method (プローブスキャン) 

SPMにてスキャンをしてイメージングを行う場合、その構造において、試料側を動かすタイプとプローブを動かすタイプが存在する。試料サイズに関係なく測定できるSPMはプローブスキャン方式になる。試料が大きくなると試料を駆動することが難しくなるためである。

関連製品:Dimension Edge , Dimension Icon


  • Pulling (プリング)

プリング、或いはフィッシングとも呼ばれる。Z軸がクローズドループであるスキャナを用いて、プローブの先端に分子を吸着させた状態でZ方向に引き上げることで、分子間の結合力や分子自身の破壊を起こすために必要な力を計測できる。ナノテクノロジーの中で非常に重要視されたSPM機能の一つでもある。


Q

  • Q Control (Qコントロール)

Q値を電気的に制御し、固有のQ値より高めたり低めたりすること。
測定条件・環境においてプローブのQ値を可変させて都合のよい測定行うことが可能になる。一般的には、プローブの持つ固有のQ値に対して、0.1倍から10倍の、二桁の範囲で制御が電気回路上で可能である。

関連製品:Dimension Icon , MultiMode8


  • Quality Factor (Q値)

ACモードで測定する場合、プローブのもつ共振周波数付近で振動させる。その時得られる共振曲線で、半値幅(FWHM)Δfと共振周波数f0から計算され、Q=f0/Δfで算出される。
F0が高いほど、Δfが小さいほど、Q値は大きくなる。同一の環境中では固有のプローブに対するQ値は一つに定まるが、周囲の環境が変化すると共振曲線も変化するため、大気中、液中、真空中などでQ値は大きく異なる。


  • Quantitative mapping

定量マッピングの意味である。AFMのイメージングは形状像の定量マッピングと呼べる。形状については、3Dの定量的な画像が計測できるのがAFMの本来の売り言葉である。しかしながら、他の力勾配については定性的なレベルでは使用できても、定量的になると様々な問題によって、現実にその定量値をダイレクトに得ることが難しい。長い間期待された機能でこの定量的なマッピングを可能にしたものがある。 それは、PeakForce QNMである。ナノスケールで機械特性の定量的マッピングを可能した。


R

  • Raster Scan (ラスタースキャン)

プローブがX軸方向を往復運動しながらY方向に移動する動きで、四角いエリア状をプローブがスキャンすることを意味する。


  • Resolution (分解能) 

Z方向の分解能、X-Y方向の分解についてディスカションされる。ADコンバータのビット数やスキャンする際の分割メモリサイズによって、1画素あたりにいくらの数値で割り振られるか決まってくる。しかしながら、本当の重要な分解能は、やはりZ方向の分解能になる。しかしながら、ノイズフロアが大きい装置では、数値上の分解能は無意味で、ノイズフロアが分解の意味になるということが要注意である。


  • Resonant Frequency (共振周波数)

プローブ(カンチレバー)が持つ固有の共振周波数である。物質にはある特有の周波数において同期して振動する共振周波数が必ず存在する。
SPMのACモードに限定して言うと、測定原理において必ずプローブの共振周波数を利用して加振するので、この共振周波数を必ず確認してパラメートを設定するプロセスがある。


  • RTESP (Rotated Tapping Edged Silicon Probe/アールテスプ)

ローテイドTESP(Tapping Edged Silicon Probe)である。通常のTESPタイプのプローブは、非対称なピラミッド型の形状したチップである。片方向には、より鋭角した角度で測定されるが、反対方向は鈍った傾斜のデータになる。
凹凸の大きい試料表面を測定するとこの非対称性がデータに反映されて問題になることがある。RTESPは先端のピラミッド型チップを前後の180°回転しているために、測定時のチップの側壁が対象になるようにインゲージしてくれる。

関連製品:AFM/SPM用プローブ


S

  • ScanAsyst (スキャンアシスト)

2009年に開発されたPeakForce Tapping機能を応用した画期的な新自動測定モードである。
自動最適化によりセットポイント、及びゲインの調整の必要が無いため、ユーザー技能に関係なく、大気中、液中問わずより速く安定したイメージングをすることが出来る。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon , BioScope Catalyst


  • SCM (Scanning Capacitance Microscope/走査型キャパシタンス顕微鏡)

走査型キャパシタンス顕微鏡は、半導体のP/Nジャンクションを観察する目的に使用される。金属コートのプローブ、誘電膜(或いは絶縁膜)および半導体試料面からMOS構造を利用した測定技術である。形状からでは判別できないものが観察でき、主に半導体の不良解析に用いられるSPMモードである。接触式である為に、類似した非接触方式のものより高い分解能が得られる。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • SECPM (Scanning Electro Chemical Potential Microscope/走査型電気化学電位顕微鏡)

走査型電気化学電位顕微鏡と呼ぶ。電気化学STMをベースとし、溶液中の電位分布(電気二重層)を計測することができる。等電位面のマッピングや、一定高さモードで、電位分布の測定ができる。さらにチップ-サンプル距離の変化に対する電位の変化を計測することも可能。

関連製品:MMAFM-8


  • Soft X-ray(軟エックス線)

AFM測定に影響与える条件の中に試料が帯電してしまい、その静電気にプローブが引っ張られて測定が困難になる場合はある、SAW フィルター或いは酸化膜のついた半導体デバイスはこうした問題が多いために、試料表面の電荷を放電させる必要がある。その方法として軟X線を試料表面に照射するとX線によって、イオン化されたイオンと電荷で相殺され、ディスチャージ効果が得られる。ただし、軟X線は取扱に制約がある為に、インタロック機構をつけて安全管理の対策を必要とする場合がある。


  • SPM (Scanning Probe Microscope/走査型プローブ顕微鏡)

SPM(走査型プローブ顕微鏡)とは、先端が先鋭化されたプローブを走査して表面構造を観察する顕微鏡の総称。検出方式の違いにより、STM(走査型トンネル顕微鏡)とAFM(原子間力顕微鏡)などが含まれる。同一装置でアタッチメントを交換することにより、STM、AFMいずれも測定が可能なことが多い。AFMの応用測定である、MFM、 SPoM、EFMなど様々なモードの総称としても使われる。
SPMは、プローブ(Probe)を走査(Scan)して小さなものを拡大して観る(Microscope)という共通の動作原理に着目して、“Scanning Probe Microscope”、つまり“SPM(走査型プローブ顕微鏡)”と呼ばれるようになった。これらによって、形状以外に豊富な種類の情報をナノスケールの分解能で測定できるようになった。

関連製品:原子間力顕微鏡システム


  • SPoM (Surface Potential Microscope/表面電位顕微鏡)

表面電位顕微鏡は、SPMプローブにAC電圧、DC電圧を印加して、プローブとサンプル表面間で作用する力がゼロになるDC電圧を検出する。
検出信号が小さいので、位相検出により高いS/Nで表面電位のマッピングが可能である。
試料表面の凹凸を測定してその凹凸の情報を排除するインターリーブスキャンをしているという特徴がある。別名KFM(Kelvin Force Microscope)とも呼ばれる。


  • SSRM (Scanning Spread Resistance Microscope/走査型拡がり抵抗顕微鏡)

走査型拡がり抵抗顕微鏡は、試料にバイアス電圧を印加し、導電性探針を通して流れる電流をアンプによって計測し拡がり抵抗をマッピングし、半導体のドーパント濃度を測定する目的で使用される。
半導体では不純物濃度を大変幅広く振ってデバイスを作るために、このSPMで測定する抵抗値も大変幅広く対応する必要がある。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • STM (Scanning Tunneling Microscope/走査型トンネル顕微鏡)

SPMの中で最初に開発された測定モードである。スキャニングトネリングマイクロスコープと呼ぶ。チップとサンプル間に印加された電圧で、チップが試料表面にナノレベルまで近づくとトンネル電流(接触していないのに、トンネル現象で電流が流れてしまう)が流れる。更に近づけていくと試料-チップ間の距離に対して指数関数的にトンネル電流が増加する。このカーブを利用して、一定の電流が流れるように位置をキープしてスキャンすると、チップは試料表面に並行で移動するので、チップの位置のマッピングデータから、凹凸情報や原子像の観察が可能になる。しかしながら、導電性が無い試料はトンネル電流が流れないために、測定することができないという弱点がある。


T

  • Tapping Mode (タッピングAFM)

タッピングAFMモードは、コンタクトAFMで発生する摩擦の問題を解決するために、開発されたAFMモードである。
断続的にサンプル表面にAFM用プローブが接触をするように、プローブの共振周波数で加振しながら測定を行う。幅広いサンプルに対して非破壊で測定できるために、これまではもっとも標準的なモードとして採用されてきた。


  • TERS (タース)

Tip Enhanced Raman Spectroscopyの略。鋭利な金属表面にラマン光を照射するとそのエッジ効果により大幅にラマン光が増幅される。AFMは、プローブ先端を近接場領域でコントロールすることができるので、プローブによりラマン光強度を増強することができる。

関連製品:Innova , BioScope Catalyst


  • TESP (テスプ)

Tapping Edged Silicon Probeの略。タッピングAFM用に標準的なプローブで最も標準的に使用されている。単結晶性シリコンを材料としている。


  • TRmode (ティーアールモード)

Torsional Resonant mode(ねじれ共振モード)である。TRモードは、カンチレバーが横にAC振動を行う。振動している状態でProbeが試料表面にぎりぎり近付くと、その運動にブレーキをかける力が発生する。これをシアフォースと呼ぶ。TRモードで試料に近づくと同様にシアフォースが発生して横の振動振幅を減少させる作用をおこす。一定振幅を維持しながら試料表面をスキャンすると、一定の距離を維持しながらプローブが動作するので、凹凸情報のイメージングが可能になる。 また、電気測定を行う場合には、一般のACモードは一般的に縦方向に振動させるので、プローブが試料面に対して遠くになったり近づいたりするために、電気的測定等においては不安定な測定環境になる。TRモードは横にわずか1nm程度の振幅で振動しているだけなので、試料表面から常に等距離になる為に電気測定等にも向いている。

関連製品:MMAFM-8 , Dimension Icon


  • TR-TUNA (ティーアールツナ)

TRmodeとTUNA(トンネリングAFM)を組み合わせた測定モードである。TRmodeの動作とTUNAを組み合わせることにより、これまで測定困難だったポリマー等の柔らかいサンプルがTR-TUNAでは測定可能になった。


  • TUNA (Tunneling AFM/ツナ)

トンネリングAFMのこと。半導体あるいは導電性の低い試料にバイアスを印加して微小リーク電流を計測すること。数十fAというレンジまで測定が行える。当初は半導体のゲート酸化膜の絶縁性の評価に使用された。


  • Tuning (チューニング)

ACモードにおいてプローブを共振する場合に、プローブの固有共振周波数で加振させる。プローブ毎にその値が異なるので、プローブを交換する毎に、このチューニングを実施して、測定条件のセットポイント等を決める。


U

  • UHV (Ultra High Vacuum/超高真空)

ウルトラハイバキューム。SPMの測定は電子顕微鏡とは異なり、真空環境は不要である。
ただし、サンプルが空気中の酸素によって酸化される等の反応の影響を回避する目的で、ウルトラハイバキュームの中で電子像等の高分解能測定を行うことがある。
この場合気をつけなければいけないのは、プローブのQ値が大幅に上がることである。
必要に応じて、Qコントロールの処置を行う必要がある。


V

  • VC-D基準

VC-D基準という振動レベルを示している。レベルによってVC-A、VC-B等がある。
VC-Dは精密機器を設置する環境に必要とされている振動条件であるので、設置環境が予めこの条件を満たしているかどうか調査をしておくのとスムーズな装置の設置が可能になる。


W

  • Withdraw (ウィズドロー)

スキャンしている際には、プローブはフィードバックonの状態で設定された条件で試料表面をスキャンしている。このプローブを試料表面から引き上げてスキャンを終了させる動作をウィズドローという。


  • Wollaston Wire (ワラストンワイヤー)

Wollaston Wireは白金ロジウム製であり、マイクロ熱分析測定を行うプローブである。 一般のプローブのように先端を細く加工できなったが、現在は更に空間分解能があげられる新プローブ技術が開発されたために、ナノ熱分析測定に移行している。


X

  • X offset (エックスオフセット)

見かけ上のスキャンの0Vの位置を変えることで、測定位置の中心の場所を移動することができる。大きなエリアを観察中に測定値の場所を移動する際に、このオフセットを利用する。


  • X-scan (エックススキャン) 

ファーストスキャン側とも言う。X軸方向にスキャンするSPMではもっとも基本のスキャンである。1秒間に1往復するスピードを1Hzと呼ぶ。SPMのスピードは様々な意味で重要な情報になる。
その際に、1Hz, 2 Hz・・・・10Hz等とこのXスキャンの回数で測定スピードを表現するのが一般的である。


Y

  • Y offset (Y オフセット) 

Y方向に測定の中心位置を大きく移動する際に使用する。原理はX offsetと同じ。


  • Y-scan (Y-スキャン)

スロースキャン側とも言う。X方向が一往復の動作をした際にY軸はわずかに1ピクセル分移動するだけである。非常にゆっくりした方向の動作である。AFMで測定の再現性を確認したい場合には、このY-scanを停止させてX方向を繰り返し観察しながら最適パラメータを調整する作業を行う。


Z

  • Z piezo (ゼットピエゾ)

ZピエゾはSPMのスキャナの中でも非常に重要な部分である。X軸、Y軸に比べて非常に動作が速いので、このZ軸の動作スピードが装置全体のスピードを決める。
また、AFMの形状測定のデータはすべてZ軸のデータをX-Y方向に並べたものなので、Z方向の値がすべてを決めると考えてもよい。その意味で、ノイズフロア、リニアリティ、駆動スピード(共振周波数)、駆動距離すべてが重要である。


  • Z limit (ゼットリミット)

入力信号のフルスケールをADコンバータでデジタル化して取り込む。
仮に小さい信号に対して大きなレンジをフルスケールで取り込むと、無駄な部分が発生して、同時に本当のデータを分割するADコンバータのビット数が少なくなってしまう。
そのために分解能が下がってしまうリスクがある。最高の分解能が得られるように、Z limit機能を利用して測定する信号のフルスケールを最適値に抑えることが可能である。


  • Z modulation (ゼットモジュレーション)

ZピエゾにACバイアスを印加してAC振動させる場合をZモジュレーションと呼ぶ。


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ブルカージャパン(株) ナノ表面計測事業部は、ナノプローブテクノロジー第167委員会の企業会員です。 ナノプローブテクノロジー第167委員会とは日本学術振興会の設置する61の産学協力研究委員会の1つであり、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の基礎・応用技術の組織的発展を目標に活動しています。