ブルカージャパン(株) ナノ表面計測事業部は、ナノプローブテクノロジー第167委員会の企業会員です。 ナノプローブテクノロジー第167委員会とは日本学術振興会の設置する61の産学協力研究委員会の1つであり、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の基礎・応用技術の組織的発展を目標に活動しています。 167委員会のHPはこちら http://www.npt167.jp/ |
Brukerは様々な研究領域、材料に対してナノ力学・トライボロジー特性評価が可能なナノインデンターを皆様にご提供しています。このシステムは2017年にBrukerの仲間に加わったHysitron社が開発していたものをベースに設計されており、近年の微小化・薄膜化・多機能化した複雑な材料系の開発・生産・品質管理などにおける課題解決に貢献します。Brukerのナノインデンターは高いカスタマイズ性を有しており、様々なアップグレード機能(オプション機能)が利用可能です。これからもBrukerは様々な材料評価のニーズに対応すべく進化を続け、ナノ領域での材料特性の新たな発見、ひらめきをサポートします。
ナノインデンテーションは深さ数nmからumオーダーの押し込み試験を行い、硬さ・弾性率などの機械的特性を評価する方法です。2002年にISO14577計装化押し込み硬さ試験及び材料パラメータで規格化されました。ビッカース・ロックウェルなどの硬さ試験と比べ、押し込み深さが極めて小さいため、光学顕微鏡などで圧痕を直接観察することができません。そのため、ナノインデンテーションでは測定時に得られる荷重変位曲線と押し込み試験に用いた圧子(プローブ)の接触投影面積を解析し、硬さ・弾性率などの値を算出します。
W.C. Oliver, G.M. Pharr, J.
Mater. Res. 7
(1992) 1564.
ナノインデンテーション測定結果の解析手法は材料の弾塑性変形をモデルに構築されているため、高分子材料など機械的特性への時間依存性がある粘弾性試料に対して測定・解析が困難であるケースがあります。そのような場合、ナノインデンテーションシステムを用いたナノスケールのDMA(動的粘弾性評価)を用いることが有効です。具体的には押し込み試験を行いながら、圧子に動的振幅を与えることで粘弾性の評価を行い、粘弾性特性を示す貯蔵弾性率・損失弾性率・tanδなどの値を算出することが可能です。ナノDMAの代表的な評価手法として粘弾性の深さプロファイルを取得する連続接触剛性法(CMX)と時間依存性を評価する周波数掃引法があります。
● 接触深さ、周波数、測定時間を制御して、連続測定が可能
↳深さ方向の機械的特性評価が可能
tanδのピークは高分子材料のガラス転移温度(Tg)などの特性の変化点に
相当する。
→様々な周波数、温度で測定を行うことで、
薄膜材料などについても熱的な特性の評価が可能
ナノインデンテーションシステムの押し込み試験(垂直方向)の機構に水平方向への移動機構を加えることでナノスケールのスクラッチ試験を行うことが可能です。スクラッチ試験には主に2つの手法があり、一つが押し込み荷重を一定にしてスクラッチ試験を行うコンスタントスクラッチと呼ばれる手法です。表面の傷つきやすさや摩擦力を見る場合に使用します。もう一つが押し込み荷重を増加させながらスクラッチ試験を行うランプスクラッチと呼ばれる手法です。膜の剥離が起こる臨界点を観察するときに使われます。
垂直、水平の両方向の荷重、変位を高感度で検出しながら、ナノスケールのスクラッチ試験を行う手法。
垂直、水平荷重から摩擦係数を定量的に算出したり、荷重、変位の変曲点から薄膜の密着性を評価することなどが可能。
ナノスクラッチ試験のSEM画像
DLCコーティングのスクラッチ試験後のSPMイメージング